ロサンゼルス・ストリートアート

PLACE


ロサンゼルスは言わずとも知れた車社会。街のレイアウトが何しろそれ以外を許さない。一般に言う“街”というコンセプトをロスに当てはめようとするとどうも無理が出てくる。普通だったら人の歩く規模で広がる店や施設も、車的距離感に従い大きな範囲にわたって広がっている。西を向けば海、東を向けば砂漠。カリフォルニアの地理的特性のせいか街の性質的にもどうも、すぱーっと抜けている。車がなければ人間的社交生活は望めないと言っても過言ではないほど。バスには午後9時以降は頼れないし、タクシーもランダムに道でつかまえるというのは、ほぼ不可能。だから「ちょっとそこまで、」という近所の買い物も車がなけりゃ始まらない。混沌と機能や人が集まる中で必然的に起こってくる「摩擦」の様なものが実に少ない街だ。

このだだっ広く道が広がるロスで、いうなれば有り余った空間に展開されるストリートアートがここのところ際立って元気だ。街風景と一体化させて大きな皮肉を生み出し、より強くメッセージを打ちだすというスタイルはロスだけに限らず、ストリートを基盤に活躍するアーティスト達に共通に見られる。最近はそのインパクトの強さに感服した広告業界もシーンに便乗したりしてなかなか色鮮やかな競争(協奏?)風景を作りだしている。もちろん歓迎されないメソッドも違法表現なだけにないわけではない…。


POSTERING
OBEY-GIANTのシェパード・フェリーを筆頭に見られる支持率の高い表現方法。ステンシリングなどに比べ既に作品自体は完成しているので、どこにどれだけどのように、がモノを言う。シェパードの属するブラック・マーケットからはデイヴ・キンジィーも台頭。クラブのフライヤーなどでよく見かける彼の作風、ストリートではその人型に切り抜かれた巨大ポスターが絶妙な配置でうならせる。最近異様な存在感を放っているのがこのガイコツがケータイをかけるポスター。

アメリカでは、殆どの市で車を運転しながらケータイをかけることが規制されていないのだが、つい先日フロリダで、元スーパーモデルのニッキー・タイラーが乗りあわせた車を運転していた友人がケータイに気を取られたことで大事故にあった事件がまだ人々の記憶に新しいだけに、実に強いインパクト。また脳腫瘍の原因となる電波が出るとされるケータイをあざ笑う目的なのか。


日本では実によく知られた3億円強奪事件指名手配犯のモンタージュ(その後の調査でこのモンタージュはねつ造されたということが判明)も登場。それにしても道端でこれを見つけたときにはぎょっとした。その他にも若いアーティスト達がここにも、あ、ここにも、という具合に知名度をあげてきている。

Text and Photos: Aya Muto from New Image Art Gallery

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