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フューチャー・ファーマーズ

PEOPLEText: Mayumi Kaneko

最初は決まったコンセプトっていうのはないんだね。

エイミー:種があるだけ。

サシャ:2人共何がやりたいかっていうのは分かってるんだけど、まだクリアじゃない。最初はぼんやりした感じなんだ。

エイミー:最初にクリアなコンセプトがある時は、いつも大抵同じようなものになっちゃうの。

サシャ:終わりまでいくのが辛くなっちゃうっていう。

エイミー:そのとおり。

サシャ:自分のしたいように自由に変えていくっていうようにすれば、もっと楽しくなると思うよ。

エイミー:例えばホールディングパターンズでは、ギャラリーに提出するのにどれくらいの大きさになるとか、ここはどんな感じになるとか最初に全部決めちゃわなきゃならなかった。それで、最初に3Dで作ってみて、いざ作ろうっていう段階で、すごく素敵なスタジオを見つけちゃったの。「こんな感じでやりたい」と思ったけど、できなかった。それを仕上げるために次のステップに進まなきゃならなかったからね。コンセプトを全部最初に決めちゃったから、最終的にでき上がった時は何も驚きはなかったわ。「気に入ってるけど、どんなのか分かってたし」って感じで、あんまりエキサイティングじゃなかった。私達が一緒に仕事をする時は、でき上がった時に想像もしてなかったものができて、すごくエキサイティングなの。

一緒に仕事をするのがすごく楽しいんだね。

サシャ:ものすごく!

エイミー:そのとおり。ケンカもするしね。ケンカっていっても、もちろ殴り合いのケンカじゃなくて話し合いだけど。それもプロジェクトに関してじゃなく、もっとスピリチュアルなことについて。

サシャ:僕が思うに、仕事っていうのは、僕達の関係の一番上にあるものだと思う。仕事は僕達が表現するものだけど、僕達は実際全く別のことやっている。それが、僕達がメディアだけでは何もやらない理由。ただのチャンネルでしかないからね。

2人にとってインターネットとは?

サシャ:僕にとってインターネットは、僕達の間に常に存在する画面のようなもの。インターネットを通して僕達みんなが繋がっているようにね。インターネットはそれを映し出すだけのものなんだ。

エイミー:私にとっては、意識の集合体のようなもの。ひとつだけ面白いのは、インターネット上にある情報量を目にした時、ポルノ関係のものってものすごく多いでしょ。それを目にした時、自分が考えてることと同じだって思う人が多いっていうこと。

サシャ:そう、僕達がいつも考えていることを写し出しているということだね。僕達の意識はインターネットの中にあるんだ。

エイミー:元の情報にアクセスするにもすごく便利。この前、ロボット工学について調べてたんだけど、何か疑問があったらインターネットが探してくれて、答えを見つけてくれるの。

サシャ:そして、誰もが自分の言いたいことを表現するチャンネルを持つことができるっていうこと。コントロールされたメディアじゃないけど、唯一のものだと思う。すごくいいことだと思うし、地球上で自分と同じことを考えている人コンタクトを取ることができて、繋がることができるんだ。

いろいろなことをやっている理由は?

エイミー:私は自分で自分のことをデザイナーだって思ったことは一度もなくて、ただ物を作るのが好きなだけなの。インターネットは、何かを作るには一番早い方法。でも物理的な面では、まだまだ足りない部分があると思う。カードを作りたかったら作ればいいし、家を建てたかったら建てればいい。例えば、マイケルなんかは、何でも自分で作っちゃう私のお父さんみたいに、ものすごくインスピレーションを与えてくれる人なんだけど、もしここにろうそくがあって、ろうそく立てがなかったとしたら、何か他のものを使って留めちゃうとか、彼の存在によって考えていることが実現できるようになるの。どんな素材を使ったらいいか迷っている時には、いろいろアドバイスもしてくれるし。

サシャ:どの素材を使って何をやるかのバランスなんだと思う。コンピューターの世界だけでは、道に迷ってしまうこともあるよね。

エイミー:今サシャがミシン使っていろいろ縫ってるみたいにね。

サシャ:ミシンは楽しいよ。実際に物を手に持つと心が休まって、何も考えずにいられるんだ。コンピューターを使ってると、無限にいろんなことを考えちゃって、何も考えないっていうのは無理だからね。

今月のSHIFTのカバーのコンセプトは?

サシャ:新しい環境に投げ出されること。自分の環境の外に出て、流れにまかせて、そこから何が起こるか。全ては自然に進化していくんだ。

エイミー:今マイケルとサシャと3人一緒に同じアトリエで生活してるんだけど、毎日のように人生についてとか話し合ってるの。いつも大抵同じような考えで、3人とも繋がっているっていうのを実感するわ。人と人との繋がり、意識の繋がり。今回のカバーは、新しい場所に放り出されて何かに出くわすような感じ。何をしても他の人に影響を与えるように、このカバーに登場する女の子は、高く飛ぼうとしてその途中で何かにぶつかって、それが落ちてくる。ゴムを引っぱってパチンコで女の子を飛ばすことによっていろんなことが起きる。

2人にインスピレーションを与えるものは何?

エイミー:サシャ。

サシャ:エイミーと、まわりにあるもの全てかな。

エイミー:今は、日本の出店にものすごくインスパイアされてる。ゴールデンウィークに公園に行った時に見たんだけど、食べ物やゲームなんかのオレンジのテントみたいなのがずらっと並んでて、すごくかわいかったの。だから多分ウェディングパーティーもそんな感じになると思う。

サシャ:旅行が僕をオープンマインドにしてくれて、違った物の見方ができるようになるんだと思う。できるだけ何かに慣れてしまわないように心がけてるし、僕のまわりの環境に常に感謝しているんだ。なかなか簡単なことじゃないけどね。子供の心を持ち続けるのが難しいのと同じだよね。

今後の予定は?

サシャ:…。
エイミー:…。
サシャ:予定をたてるのは好きじゃないんだ。

それで、電話が来るのを待ってるんだ。

サシャ:ということでもないんだけど。

エイミー:私は来月には、ファブリカで教えるのにイタリアに行く予定。

サシャ:僕は夏に息子に会いに行く予定。将来的には、サンフランシスコとハンブルグに小さなエージェンシーが持てたらと思うけど。ちょっと実験的で面白いものになると思う。すごく楽しみだよ。

Future Farmers
住所:1201 B Howard Street, San Francisco, CA 94103
https://www.futurefarmers.com

Text: Mayumi Kaneko

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葛西由香
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