フューチャー・ファーマーズ

PEOPLEText: Mayumi Kaneko

日本に来ることになったのは?

エイミー:たしか、以前のSHIFTのューチャーファーマーズインタビューの時に、「何でもやりたいことやっていいとしたら、何したい?」って聞かれて、「服のデザインがしたい」って答えたの。それで、サンフランシスコで開催したホールディングパターンズの展覧会の写真を何枚か送って、「これを今企画中のウェディングパーティーで実現できるか?」ってなったの。もちろんできるけど、これはものすごくお金がかかるプロジェクトで、その概算をメールで送って、なんとか実現しようとしてくれたんだけど、結局無理で。それで、いろいろ話が発展して行って、日本に来てウェディングパーティーのためにインスタレーションとか服を作ってくれって言ってくれて、「日本でフューチャーファーマーズ・ワールドをやってくれ」って言われた時は夢のようだったわ。すごくビックリした。でも一人じゃできないから、「じゃあ、一番頼りになる人も一緒に連れてくね」って言って、それはマイケルとサシャなんだけど、それでサシャに電話したの。

サシャ:僕はいつも電話を待ってるんだ。面白いことになるのは分かってるからね。

エイミー:日本に来る直前まで、さっき言ったスウォッチの仕事もしていたから、「スウォッチの仕事でもらえるお金で日本に行けるよ」ってサシャを呼んだの。

じゃあ、スウォッチの仕事は終わったの?

エイミー:まだ・・・。

サシャ:第一段階は終わったんだけど・・・。

エイミー:クリエイティブな方向性がいくつかあって、ちゃんとしたデザインっていうんじゃなくて、アイディアのショックウェーブデモみたいな感じのものをやったりとか。でも今は何とも言えないの。すごく気に入ってもらえたけどね。

いつもこんな感じで一緒に仕事してるの?

サシャ:ネットを通して仕事をすることもあるけど、でもそれはあんまり楽しくないよね。実際にひとつの場所に一緒にいる時の方がもっと楽しいよ。ネット上でも仕事はできるけど、全然別物なんだ。

エイミー:昨日の夜も一緒に同じ椅子に座って仕事したしね。

日本に来た感想は?札幌はどう?

サシャ:大好き!

エイミー:私も!

サシャ:みんなお互いを大事にするし、すごく礼儀正しい。そういう精神的な部分が好きだね。

エイミー:サンフランシスコでは、肉体的にも精神的にも自分自身を守らなきゃならないの。でもここではそんな心配はいらない。サンフランシスコにはクレイジーな人がいっぱいいるから・・・。

サシャ:攻撃的なものがいっぱいあるからね。札幌の人もクレイジーだと思うけど、全然別の意味でエキサイティングしているよ。

ウェディングパーティーについてもう少し詳しく教えて。

エイミー:基本的には、みんながいろいろ経験できるようなものを作りたいと思ってるの。パーティーに来る人も何らかの形で関わることができて、彼らがパーティーに参加できて、そこから何かを持って帰れるようなもの。
サシャと私は今CD-ROMを作っているんだけど、それがプレゼントの一つになる予定。透明なバッグに入れて、数は250個くらいになるんだけど、それをまとめてひとつの大きな作品になるような感じ。みんなが帰る時にそこから持っていけるようなものを考えてるの。
それともうひとつ、新婦になる人の子供の頃の思い出で印象に残っているのが、桜の木だったっていうこともあって、コンセプチュアルな桜の木も作る予定。木には見えないかもしれないけど、透明な布を使ってそれにアーチ型のチューブを縫いつけてサクランボをぶら下げるの。サクランボは、小さなプラスチックのボールで作って、その中には、魚の形のチョコレートを入れて、それを250個もぶら下げるんだけど、きっとものすごくキレイだと思う。
ビデオを上映するスクリーンも作って、会場の真ん中くらいに設置するの。ビデオの内容はまだ秘密だけど、自然の映像を3Dにレンダリングした美しいものになる予定。スクリーンは柱と柱の間に吊るして、その下には今作ってるカーペットを敷いてみんなが座って食べたり飲んだりくつろげる空間にしたいと考えてるの。バンドの生演奏なんかもあって、クニユキ・タカハシが中心となってやってくれるんだけど、AIRKINGがパーティーのために特別に作ってくれた2曲を演奏するの。パーティーに来た人が遊べるシーソーも今制作中。今のところはこんな感じかな。でもいろいろ作っていく過程で他にも新しいことを考えつくかも。

CD-ROMはどんな感じ?

エイミー:スモウゲーム!

サシャ:ゲームとインタラクティブな作品。

エイミー:楽しいサウンド作品になる予定。

なぜスモウなの?

エイミー:スモウが好きだから。

サシャ:スモウは日本的なものでしょ。

エイミー:多分、トラディショナルなスモウっていう感じにはならないと思う。きっと何か別の変な物になると思うわ。

一緒に仕事を始める時には、まず話し合いから始めるの?

エイミー:多分最初はちょっと欲求不満みたいな感じになってると思う。最初は方向性も決まってないし、ただ「何か作る」って感じだから。サシャが「何かある?」って私に聞いて、私が「まだ。何かアイディアは?」ってサシャに聞くと「まだ。」っていう感じ。今回のCD-ROMでは、私が「何か変なパチンコみたいなのにしたい」って思って、サシャにプログラミングをお願いして、ちょっとの間プログラミングに取りかかるの。マイケルとサシャが、このパチンコをいろいろ他のものと連動するための数学的な問題に3日間悩んで、それを解決して見せてくれた時に、「これが私のやりたかったことなの。このグラフィックでできる?」ってなるわけ。サシャのプログラミングから新しいアイディアが浮かぶこともあるし、その逆もある。お互いに刺激しあってるの。

サシャ:エイミーが作ったグラフィックを見れば、どうやってそのグラフィックを動かせばいいのかっていうのが分かるんだと思うよ。

エイミー:サシャが私のグラフィックを見て、「これできるよ」って、その逆で私がサシャのプログラミングを見て「これならできる」っていうこともあるしね。

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