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マット・オーエンス

PEOPLEText: Satoru Tanno

今までに数々のウェブサイトをデザインされていますが、制作するときのポリシー教えてください。また、どのように仕事の依頼が来るのでしょうか?

幾つかのウェブやその他のデザインプロジェクトで仕事をしていますが、コンセプトに関するアイディアを聞かれるだけのこともあるし、ナビゲーションや構成などを具体的に提案する場合もあります。結果的にコンサルタント的な時間給あるいは固定給で動いています。時には、全プロジェクトの全てのディレクションを手がけ、デザイン、HTML、JAVAなどを作り込むこともあります。
仕事の依頼は電話だったり、メールだったり。長いつきあいのクライアント、例えばナショナル・ジオグラフィックなどは、メソッドファイブ以来続いていますし、その他、僕を知っていたり作品を見た関係者からも依頼があります。そういうところから一緒に仕事をしたい会社や、コラボレートしたいようなウェブ・カンパニーが見つかっていくのです。

ニューヨークのウェブ・デザインについてお聞きしたいのですが、面白い動きというか、代表的なサイトなど教えていただきたいです。

ニューヨークのウェブ・デザインは大きく3つのタイプに分けられると思います。大規模のエージェンシーは大企業を相手にしていますが、多少保守的な内容のものになってしまう傾向があります。中規模のエージェンシーは小規模なクライアントから大規模なものまで相手にしていて、先端的なデザインから保守的なものまでこなしています。それより私のところのような小さなエージェンシーは、より特定のプロジェクト、プリントワークやテレビの仕事などをしています。

47ジェーン」には素晴しいデザイナーがいるので彼らも良いものを作っていますし、ジョシュ・ウルムの「レメディ・プロジェクト」もでき上がればすごいものになると思います。ニューヨークの「アティック」も今、素晴しいプリントの作品を作っていて、TVにも進出しようとしています。「デジタルスレッド」も着実に良い仕事をしています。「io360」と「52mm」も昨年でずいぶん有名になったので、彼らのことも知れ渡るでしょう。

そんなわけで、1998年はそんな力をつけたデザイナー達が独立して、プリント、ウェブ、インタラクティブ、モーション・グラフィックスなどあらゆる分野でクリエイトに立ち向かうということになる凄い年になると思います。

ニューヨークで活動されていてメリットのようなものは何でしょう?

ニューヨークには、多くのコラボレーションの機会があるので、一つのエージェンシーにいてはできないような、いろいろなデザイナーや技術者との仕事を可能にし、デザイン、コンセプト、プランニング、デベロップメントを通して大きなレベルで活動できるということが素晴しいところだと思っています。
プリント、ウェブ、インタラクティブ、モーション・グラフィックスと仕事をこなしてきたので、力を合わせ、才能を結集させて面白いものを作れるならクライアント、その他の会社組織などとも仕事をするのは楽しいですよ。

もし、他の土地で活動するとしたらどこに行きたいですか?

日本、香港、サンフランシスコなど。日本と香港は文化的なバックグランドが、ニューヨークとは大きく異なるので学ぶべき事が沢山あると思います。同時に香港、日本には、ぜひ一緒に仕事をしたいと思う素晴しいデザイナーも多くいますし。
サンフランシスコは、非常に強いテクノロジーやデザインのバックグランドがあり、それにも興味があります。ロサンゼルス、ワシントンDC、アトランタ、イギリスなどのクライアントなどとも仕事をしてきましたが、旅をしながら仕事をするのはとても好きです。

その仕事を一緒にしたいというデザイナーというのは誰ですか?

香港は、もちろんマイク・チュウ。それに友人でもある「レモン」で働いているドレイファス・チョウです。彼とは、メソッドファイブのアイデンティティー・ワークの仕事をよくしていました。実に純粋な意味でのコラボレートでした。
日本では、アシュラ、村上隆とは是非、一緒にやってみたいですね。自分自身が非常にアメリカ的な物の見方、ポップ・カルチャー、デザインの経験を持っているため、これらの人々と共同で仕事ができれば、とても素晴らしい経験になるし、自分では想像もできないないような方向に、作品を導くのではないかと考えています。

ポップ・カルチャー、そして日本のカルチャーがお好きなようですが、影響を受けたものとかはありますか?また何にひかれるのでしょう?

ポップ・カルチャーにはずっとのめり込んでいます。日本のカルチャーがアメリカのカルチャーを解釈したり、逆にアメリカやヨーロッパのカルチャーが日本のものを解釈したりすることがとても面白いのです。この果てしない解釈、再解釈のサイクルからもたらされる複雑なビジュアル・ダイアローグがあって、例えば、雑誌の「キューティ」などで、アメリカのヒップスター・ファッションを取り上げながらそれを独自に解釈して提示している点は驚くべきものがあります。アメリカのキッズたちはもっと直感的にダイレクトにファッションに接していて、そのような接し方はしないですから。
もう一つ例にとると、デザイナーズ・リパブリック。彼らが、レイブ・カルチャーやグラフィック・デザインというコンテクストで日本のカルチャーを最初に取り上げてから、今日本には、アシュラ、村上隆などがこのような試みを取り入れ、完全に新しいものを作り出していますよね。また、イギリスの アティック やアメリカの「アパートメント13」などはこのようなビジュアル・ランゲージを用いて独自の展開をしています。僕自身が子供時代にマジンガーZ、ウルトラマン、百獣王ゴライオンなどを見て育ったので、自身の体験を通してこれらのものからデザインの影響をうけているのは間違いないです。

Text: Satoru Tanno

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