ストックホルム・ファッション・ウィーク 秋冬 2013

HAPPENINGText: Victor Moreno

チープマンデーの2013年秋コレクションのテーマは「アーティフィシャル・グランジ」だ。ショーはストックホルムの中心地にある、廃校となった高校で行われた。会場の全員が90年代に戻ったような感覚であり、120分間ミート・パペッツの音楽が流されていた。しかし、これはグランジに対する共通の記憶で、商業的なものであり、実際の文化よりもグランジである。よって、アーティフィシャル(人工的)と呼ばれるのだ。

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グランジをベースとしたアイディアは、それが最も最近の若者世代のムーブメントだからである。「グランジは本当に反抗的で、大衆に根差したものだった。プリントはグランジの時代に関連している手書きのもので、擦り切れた見た目、象徴的な引用の遊びがある。古典的なスタイルにグランジ時代の記憶のイメージをぶつけることで、2013年の秋冬コレクションに何か新しいものをもたらしている。

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今日、本当の若者世代のムーブメントと言うものを見つけるのは難しい。なぜなら、デザインはそのデザインが生まれる前から、商業的に選び出されているからだ。「本物」と「人工的」の線引きは曖昧である。そして、「本物」とは一体何なのか?グランジはそれ自体、これまで「本物」であったことはあっただろうか?」と、彼らは自分自身に問いかけている。混沌としたスタイリングと、ランダムな見た目のレイヤーが、このコレクションでは核となっている。レース、フットボールストライプ、ミリタリーのディテール、古着風のカーディガン、60年代風のトップス、ワンピース、靴全てが混ざり合っている。しかし、デザインは再現されたものなので、実際はよく計算されており、でたらめに作られている物ではない。つまり、「人工的」という事だ。

明るい白からくすんだ白、洗いざらしの黒から濃い黒、土色の様な緑や濃いプラム色と、色の範囲は広くにまたがっており、私たちが記憶している通りこの配色が、この時代にとても重要なのである。

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過去に使われた明るいライムと、薄く赤い色が付いた洗いざらしの黒をぶつけることで、赤に作り替えられる。フランネルのチェックシャツやワンピースをTシャツの上、もしくは下に着るのも重要な要素だ。シースルーのワンピースは、よりはっきりした銀色や、薄い青いルレックスの布地、銀布の鏡のようなスカートや細いリボンと組み合わされている。淡い青色のふわふわしたモヘアのスカートや、糸のほころびが見える計算された服は、擦り切れて、ぼろぼろの見た目を和らげている。黒と白のストライプと、作為的にぼかされた迷彩柄を切り離すことで抑制と構造を生み出している。

メルセデス・ストックホルム・ファッションウィークAW13
会期:2013年1月28日(月)〜30日(水)
会場:Berns Salonger, Kungsträdgården etc, Stockholm
https://www.mercedesbenzfashionweek.se

Text: Victor Moreno
Translation: Aya Kitano
Photos: Victor Moreno

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