山縣良和

PEOPLEText: mina

「ここのがっこう」での独自のファッション学のテーマとか研究法について教えてください。

自分なりの教育現場をつくっていて、みんなと何がつくれるかっていうのを考えながらやっています。その延長線上でコラボレーションが行われたり、今までの教育概念とは違うかたちで、何かそういう場所を作れたらと思い、昨年から活動を開始しました。例えば、今週は先生交代。生徒が先生になってもらう。先生と生徒の構図をまず変えたいなと思って。絶対先生が正しいわけじゃないっていうのをまず僕らが見せていかなきゃいけない。ファッションそのものを見たときに、ファッションの歴史を変えていったのはやっぱり若い人たちなので、若い人たちがある意味正解をもっているはずなのだと思います。それなのに年配の先生が全て正解をもっているような構図は、おそらく間違ってるなって思ったので、僕たちの側からもそれが少しでも伝わっていけばいいなっていう気持ちを示すためにも、そのようなプロジェクトをやっています。

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「coconogacco collaboration project」

生徒さんはどんな講義をこれまでにされたりしましたか?

僕たちは当日まで先生役の生徒が何をやるのかわからないし、何でもいいからファッションの講義をしてくださいとお願いするのですが、例えば、自分の古着を持ってきて、ここのこういうところが僕は好きなんだ、かっこいいんだ!っていうのがあったり、東大の方で物理をやっている方がいて、ずっと理論を立てるということをやってきている方なので、そういう視点からファッションの論文とかを解釈すると、全然なってないという話をされたりとか。年齢層もばらばらです。

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「the lace glove」

今後関心のあるテーマ、気になっているものは何ですか?

ファッションそのもの。結局、ファッションで何ができるんだろう、というところでしょうか。ファッションはすごく必要だし自然のものだと思うのですが、ファッションの意味や、力など、もう一度原点に戻りファッションて何ができるだろうかいうのが、自分の中の命題です。20世紀まではファッションは、何を着るかで身分が変わったりとか、社会的なポジションが変わったりとか、すごく重要だったと思いますが、今はそれがフラットになって、何でも自由に何でも着れるし、これを着てるからこの人はこうだというのは、今はなかなかないですから。それではこれからのファッションのできることは何だろう、ということに興味があって、何かしらの活動ができたらというように考えています。

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「Graduate Fashion Show」

それに対する山縣さんなりの現時点での回答はどうなのでしょうか?

例えば、ファッションは流行の先端的なイメージもありましたが、今はそれが逆転しているように感じます。すごいクラシックな業界だし、ファッションそのものがそういったものになったような気がしています。今はインターネットとかウェブの中でのコミュニケーションがさらに細分化して、新しいコミュニケーション方法が出てきている。携帯に始まって、メール、インターネット、コミュニティサイト、ミクシィ、ツイッターという流れの中で、自分自身の身体とかけ離れたところでのコミュニケーションが行われてるというのが、21世紀型の人と人とのコミュニケーションの一つの繋がり方だと思うのです。その時に人と人が会わなくてもできるコミュニケーションが増えたことによって、会って話すコミュニケーションの重要性はなくならないし、さらに重要なところだと思うので、それを突きつめていくと人と人の原点的なコミュニケーションをファッションで伝えられる何かができればなというのがあります。それをさらに発展していけば医療など、ファッションは精神的な心の繋ぎ合わせだと思うので、人の心を癒すとか、社会性を出すという意味において、ファッションの力でできることはあるなと思います。

なお、「ここのがっこう」では新進気鋭のフォトグラファー、Daniel Sannwald(ダニエル・サンウォールド)をドイツから迎え、ファッション写真撮影を中心としたワークショップを2月20日から開催する。詳細はサイトにて確認してほしい。

Text: mina

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