エマ・キャシー
PEOPLEText: Sayaka Hirakawa
エマの作るジュエリーに初めて出会った時、ふと、子どもの頃縁日で買ってもらった色とりどりのビーズの詰め合わせを思った。その単純な色合いをしたプラスチックの冷たい質感だけでなく、短い夏の夜のせつなさや心細さのようなものまで、なぜか心をよぎった。
それはもしかしたら、彼女の使うレースやビーズたちが長い歴史とストーリーを持ったアンティーク素材であるからなのかもしれないし、または、彼女自身がレースのカーテンに咲く繊細なパターンや、日が差し込んだ時、床に踊るその模様に心を奪われた、少女の頃の気持ちを抱き続けている人だから、なのかもしれない。
そんなエマ・キャシーの作品の生まれる、彼女のアトリエを訪問してお話を伺ってみた。
美しく繊細な透かし模様を残しながらも、その上を思い思いのビーズや石が彩る春夏のコレクション。子どもの広げたパレットのようなカラフルさも、そのレースのしっとりとした女性らしさが、「子どもの心を持った大人の女性」のおしゃれを演出している。
『レースはいつもそこにあるのよ。』と彼女は言う。祖母が亡くなってしまった時、彼女がコレクションしていた沢山のアンティークレースが屋根裏部屋から見つかった。それが全ての始まり。
『レースはよく見ると、それ自体植物の模様をしているみたいでしょう? 葉の葉脈や、蔦の作り出すラインに似ていると思う。そこに惹かれるのかしら。』フランス、ディジョンで育った彼女にとって、それは特別な思いの詰まったインスピレーションの元なのだ。
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