せんだいメディアテーク

PLACEText: Aya Takada

仙台のケヤキ並木が美しい定禅寺通にせんだいメディアテークが開館したのは、2001年1月。開館以来、伊東豊雄による建築構造が話題となり、世界各国から建築関係者が訪問する。多数のアートイベントや短編映画祭等を開催し、観光客や市民に親しまれ、まさに仙台市の文化発信地として、重要な存在となっている。

せんだいメディアテーク
© Sendai Mediatheque

せんだいメディアテーク(以下smt)は、情報ブラウジングのインフォメーションコーナー(2階)、仙台市図書館(2、3、4階)に加え、ギャラリー(5、6階)、映像・音響ライブラリー、スタジオ(7階)からなる仙台市の公共文化施設である。ガラス外壁から館内に光が心地よく入り込み、夏には定禅寺通の緑を感じ、冬には光のページェントを味わうことができる。仙台の街並や四季を上手に取り入れた建築物である。

せんだいメディアテーク
仙台市図書館 4階フロア © Sendai Mediatheque

また、館内に設置されたチェアは洗練されたデザイン家具で、6Fにはカリム・ラシッドのデザインによる不思議な形のベンチ、5Fには手塚義明┼小池ひろのによるチェア、そして2階には、妹島和世デザインのフラワーチェアーが設置されている。日常的な角度からsmt利用者の感覚を刺激し、同時にデザインを身近にするきっかけになっている。この他にも、照明や会議室なども利用者の感覚や環境を意識した創りだ。

せんだいメディアテーク
スタジオ 7階フロア © Sendai Mediatheque

smtは、表参道のTOD’S(2004年)や、多摩美術大学図書館(2007年)等を手掛ける建築家・伊東豊雄が、新しい建築形式に取り組んだ建築構造と言われる。建築関係者以外でも、館内の地下2階から屋上まで突き抜けている13本のチューブ(鉄骨独立シャフト)や、全面ガラス張りの建築物に関心を抱くsmt利用者は多いはずである。その方々のために、smtではガイドボランティアを組織し、建築構造や館内のプログラムを丁寧に案内してくれる(要予約)。

特徴的な構造としては、柱の役割を果たす13本のチューブと6枚の床。そのため、館内フロアには一般的な「柱」が存在しない。建築的視点をもって、館内を見渡すのも興味深い。

せんだいメディアテーク
ギャラリー4200 6F © Sendai Mediatheque

建築だけが特徴ではなく、smtの充実した催し物にも注目したい。文化催事が多彩な仙台の文化発信地であるせんだいメディアテーク。仙台という街が、地域や芸術・文化として発展ある都市であることを市民や訪問者に、これからも力を入れて伝えていってほしい。

情報収集の場として、また気鋭な建築や現代美術、映像を堪能する空間として今後とも多くの方に信頼をもって利用されるだろう。

せんだいメディアテーク
住所:宮城県仙台市青葉区春日町2-1 
TEL:022-713-4483
office@smt.city.sendai.jp
https://www.smt.jp

Text: Aya Takada
Photos: Courtesy of Sendai Mediatheque

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