ハーバー・シティ

PLACEText: Andrew Sinn

ハンブルグには、ドイツ最大の港がある。その港をこよなく愛する人達がいて、たまに港でパーティーを開催している。先週の土曜日にも、ハーバー・シティの2つに分かれた運河の中間にある島でパーティーが開催された。巨大なビジネスホテルのすぐ前に鉄橋があり、すぐ後ろで列車が走り抜けていた。

ミュージシャン達は、小さな抜け穴のあるシェルターの側に立っていた。僕が会場に到着した頃には、ダークなエレクトロノイズが鳴り響いて、何となくこの世の終わりが近付いているような感覚におそわれた。太陽が燦々と輝いていて、集まった人達は、太陽の下でドリンクやジョイントを楽しみながらリラックスしていた。パーティーの音楽的テーマは「自作」で、パーティーに参加した地元のミュージシャンは、未発表のものをプレイし、その殆どがいいものだったのには驚いた。

僕は、バーの後ろでウオッカを飲みつつ楽しんでいた。飲み過ぎてしまったので早い時間の出来事しか覚えていないのが残念だ。パーティの主催者が所有する2階建ての家のリビングルームに皆集まってきて、彼等が踊っていたからか、それとも僕の頭がぐらぐらしていたからか分からないけど、家が揺れていたような感じがした。

パーティーの1週間前、友達のダニエルと一緒に、港の免税ゾーンを自転車で探検しに行ってきた。まず、ハンブルグと北海を結ぶエルベ川を渡らなければならなくて、エルベトンネルを通ってみることにした。車や自転車、歩行者がエレベーターで地下に運ばれてトンネルに到着するのだが、トンネル内部では、アーティストによるインスタレーションが展開されていた。トンネル内の光源を全て色付きのホイルで覆って、淡いブルーやピンクの光りが、先に進むにつれて徐々に濃いブルーや紫に変わり、海に深く潜っていくような感覚だった。

エルベ川を渡ってコンテナターミナルの立ち入り禁止ゾーンを探検してみることにした。そこで、第2次世界大戦で使われた潜水艦を発見。近付いて匂いを嗅いでいると、突然ブルドッグが目の前に現れた。ドイツでは、ブルドッグに噛まれて死亡したという事件が2件あり、メディアで大々的に取り上げられていた。そのため、ブルドッグの飼い主は犬に口輪をしなければならないという法律がある。僕達が出会ったブルドッグは野良犬で、目を離さないようにしながらゆっくりと後ずさりした。

Text: Andrew Sinn
Translation: Mayumi Kaneko
Photos: Andrew Sinn

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE