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「グラフィックス:デザイン・ナウ」展

HAPPENINGText: Alistair Beattie

今回の展覧会では、ウォーカー・アート・センターで作られたウォーカー・タイプフェイスの制作といったようなコラボレーションプロジェクトを紹介している。

M/Mはパリを拠点に活動する、ミカエル・アムザラグとマティアス・オグスティニアックのデザインスタジオ。1992年からその活動を開始している。音楽関係のプロジェクトからスタートした彼等だが、バレンシアガ、ジル・サンダー、ヨージ・ヤマモトといったファッション業界とのコラボレーションを手掛けるようになる。最近では、「パリ・ヴォーグ」のクリエイティブ・ディレクターとして活躍している。


Yohji Yamamoto SS98 catalogue. Photo: Inez van Lamsweerde & Vinoodh Matadin, Set design: M/M (Paris)

M/Mの作品はアートフルでオリジナル性に溢れている。彼等の作品からは、ワイルドな感受性と共に、奥深い生き生きとした物語を伝えるということへの、とても伝統的なセンスが感じられる。活気的で、神経質で、それでいて心に残る作品なのだ。ヨージ・ヤマモトのために制作した作品は、上品で忘れる事ができないもの。それだけではなく、控えめと超過が程よくミックスされている。明らかに他の人たちの作品とは違って珍しいものばかり。今にも何か起こりそうな興奮した感覚と共に、彼等の作品を楽しむ事ができるのだ。見事なアートディレクションと写真、そして巧みなグラフィックニュアンスで、オフステージなナラティブが展開されている。『デザインは会話のようなもので、常に答を求めているのだ』とM/Mは言う。

タイポグラフィーを教えるスイスの学校で学んだミュラー+ヘスは、自分達の作品をその伝統の洗練された破壊と表現している。チューリッヒにある彼等のスタジオでは、ビート・ミュラーとウェンドリン・ヘスの2人は自費出版プロジェクトの他、バーゼル・アートフェアやカスカコンデンセイター・アートスペースの作品等を手掛けている。


Identity for Rotterdam as European Capital of Culture, 2001 © Müller+Hess

ミュラー+ヘスにとってタイポグラフィック・トラディションとの愛と憎悪の関係は、作品へのエンジンともいえるものだ。複雑なデザイン環境、「発見する」ということから自然と生じる喜び、あるいは「偶然的な」結果に対するあらかじめ決められたシステムのアプリケーションは、厳粛で遠慮がち的な最初の感覚であるにもかかわらず、かなり活発的なものだ。彼等の作品のほとんどがスマートでコミュニケーションの能力があるものばかり。学生用のパンフレットや名刺をリサイクルして更にその上に印刷を重ねている作品は、素晴らしく効果的で、どのように時間が経過し、変化が生じて行くのか、というストレスの強烈な方法ともいえる。時、変化、そしてはかなさという、まさに人間らしい感覚を描写したインクの墓場は、彼等の最終結果である。印刷を重ねるという方法は、儀式的な真言になり、それはタイポグラフィックの構成上、形式的な構造に対する共鳴なのである。

メーフィス&ファン・ドゥールセンは、アーマント・メーフィスとリンダ・ファン・ドゥールセンによって設立されたアムステルダムを拠点に活動をしているデザインチーム。ヨーロッパの文化首都としてのロッテルダムのアイデンティティの制作だけではなく、アムステルダムにあるオランダ・デザイン・インスティテゥートやアムステルダム市立美術館オランダ国立オペラなどとの仕事を手掛けている。


ABCD E-MAGAZINE for Viktor & Rolf, Mevis + Van Deursen

メヴィス・ヴァン・ドルステンの作品でも、タイポグラフィックが持つスマートさと簡潔さに驚いてしまった。彼等は編集上の再調整のプロセスに秀でており、その行程だけではなく目的にも楽しみを生み出しているのだ。展示されている作品は映画的な本で、それらはしつようにカタログのようで、ダイジェストのようにつかの間のようなものに思える。何かを説明する為の術をいつも探しているかのようにも見える。彼等は、作者/デザイナーとオーディエンスの関係を巧みに、そして確実に掘り下げており、経験の孤立した断片から意味を見い出す事を追求しているのだ。

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