VIDEACY 2001

HAPPENINGText: Aya Muto

参加アーティストの紹介

J. Tobias Anderson 「879」(01:52), 「My Name Is Grant」(01:52), 「Active Passive Conversation」(02:04)
スウェーデンはストックホルム出身。画家であった彼は1993年にアニメーションとビデオに傾倒する。ヨーロッパのフィルムフェスティバルに数多く参加。アンダーソンはハリウッドの商業的荘厳さ挑戦したりもする。「879」は、ヒッチコックの「North by Northwest」の一シーンがを879枚の手書きパネルによって再現された。

Kinya Hanada (Mumbleboy)「Crossing」(01:48), 「Kompendium」(02:34), 「Powers that Lurk」(03:05), 「Enfant!」(01:44)
横浜出身だが13歳の時に南カリフォルニアへ。学校を経てニューヨークへ移住し、 現在はフリーランスのウェブ・アニメーター/イラストレーター。ポップ色の強い作品。ハナダの作品は様々なウェブサイトで取り上げられ、ビデオ/フィルムフェスティバルへの参加も多々。

Michele Beck and Jorge Calvo 「Untitled」(01:09), 「9:11」(03:00)
ベックとカルヴォはパフォーマンス、ビデオ、写真、サウンドなどのメディアの境界を超えて活動。

Andrew Bucksbarg 「Untitled」(06:00), 「Chair」(06:53)
主催者でもあるバックスバーグはこのイベントの主旨を体現すべく、2作品を通してビデオというメディアに全く違ったアプローチを試みる。前者は実験音楽にあわせたデジタル画像美。後者は廃虚となったオフィススペースを人間と一体化したイスが練り歩く。

Lara Frankena 「To Ache Sharply From Time To Time」(06:00)
体のクロースアップのシークエンスで痛みを示唆する。ビデオ、サウンド、写真などのメディアの他にも印刷術や手製本にも長けている。

Sterling Ruby 「Human Touch」(02:11)
ドイツはビッツバーグ出身。彫刻、写真、ドローイング、オーディオ、ビデオなどの作品を通してルビーは情緒やセクシュアリティを考える。現在はシカゴ在住。

Cecilia Lundqvist「Rebus」(06:17)
スウェーデンはストックホルム出身。1994年以来アニメーションビデをを数多く手掛けている。世界中のフィルムフェスティバルに数多く参加。

Clay Chaplin「Thanks, Sharon」(approx.06:00)
ロサンゼルス在住の作曲家、デジタルメデイア・アーティスト。チャップリンの作品ではリアルタイムのパフォーマンスとビデオのサンプリング術などが共存。つい最近アムステルダムで「Stupid Thing」と呼ばれるインタラクティブ・ワイヤレス楽器(内蔵されたオーディオ/ビデオデータをリアルタイムで遠隔的に操作できる)の発明を終え、帰国したところ。

Gabriel Cyr and Kyle Harris「Mannered」(04:00)
シ−ルはシカゴ在住の音楽家、フィルム/ビデオ作家。米国内各地でパフォーマンスを行う。ハリスはビデオ作家であるとともにライター、キュレータとしても様々なフィルムフェスティバルで活躍。

Marina Zurkow (Braingirl)「Eye Test」(03:39), 「Braingirl’s Brain」(03:55)
O-Maticの創設者。マルチメディア・アーティストであるとともに映像作家である彼女は強力なキャラクターの Braingirlをもって参加。異常に強調された性器を持つ Braingirlは、ジェンダーを超えたところの現代医学に疑問符を投げかける。

Amy Green and Ryan Hill「How To Build Your Own Plastic City of the Future」(07:51)
グリーンはロサンゼルス在住の彫刻家、画家、インスタレーション・アーティストで、教育者でもある。彼女の抽象絵画にはチェリーやジェロー(アメリカ製簡易ゼリー粉)やキャンディーが場をひしめく。

Jennifer Steinkamp and Jimmy Johnson 「X-ray Eyes」(05:00) Courtesy of Acme, Los Angeles
アーティストのスタインカンプとコンピューター音楽作家のジョンソン。二人の建築インスタレーションは世界中の美術館、ギャラリーで展開している。

『中には3人(バックスバーグの他にサラ・ロバーツ、シーラ・M・ソフィアンがキュレーションに参加)で話し合って、長過ぎる、という意見が出た作品もあったが、純粋にビデオの可能性の提示をするにはそういう作品もあえて加えることが重要だった。』とバックスバーグ。VIDEACYは、年に一度開催されるビデオフェスティバル。今回はその記念すべき第一回となるわけだ。ロスのダウンタウンという華やかさとは程遠いロケーションをあえて選択したわけだが、『思った以上の反応で良かった。ロケーション的に嫌われるかと心配してたから』というバックスバーグは、このダウンタウン地区の再建にアーティスト達が意識的に貢献することの大切さを解く。今回は、サイド・ストリート・プロジェクトという組織が提供しているシアターを幸運にも押さえることができたのだそう。『ロサンゼルスではいわゆる業界が強腕を振るい過ぎている気があって、今までSFやシアトルのようなメディア・アートをサポートする組織がなかったんだ。少なくとも僕の知ってる限りではね。でも人々はビデオやデジタル・アートにまだまだ夢を抱いてる。だからこの先どれだけ技術が発展していこうと、それに追随してアーティスト達はこのメディアの実験や追求を続けていくだろう。』

これから再発展するメディアとしてのビデオに注目あれ。

VIDEACY 2001
会期:2001年7月20日(金)、21日(土)
会場:Side Street Live, Los Angeles, California
主催:Ad Hoc Art
https://www.adhocarts.org

Text: Aya Muto

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