「ダイアリー」展
HAPPENINGText: Mark Griffith
一体、インターネット上でプライバシーとなりえるものなどあるのであろうか?
全く異なったイベントが4月19日にハンガリーにある英国大使館で開催されたのだが、はからずも同様の問題が提起された。英国商工会議所が電子メールの暗号解読やデジタル認証についてのパネル・ディスカッションを弁護士や会計士に対して行った。ビジネスにとってオンライン・プライバシーとはすなわち「金」を意味する。物語の境界線をあいまいにするというよりも、彼等は銀行口座の境界線をクリアにしたいようである。
1991年にジマーマンがアメリカの諜報機関を裏切り、彼の暗号解読ソフトである「PGP」をインターネットにアップロードして以来ちょうど 10年、 今やデジタル認証や電子認証書類はビッグ・ビジネスとなっている。何か新しいことがおきるたびヨーロッパでは法的にどうコントロールするかということで忙しい。ほとんどヨーロッパの国と同様にハンガリーではハンガリー国営通信機構の管轄下に企業を配置するするというものである。
そこで私は彼等に質問してみた。何故、ハンガリー国営通信機構が、自分たちが管理する電子認証発行者によって使用される商業用暗号解読ソフトを得るために自分たちの権力を濫用しないと利用者は信じられるのか?
パネラー達は狼狽するとともに恥辱を感じたらしい。この新しいシステムを信用しろというのは無理があるではないか。これでショックを受けたアメリカの担当官が、第一次大戦中の 1917年にドイツとメキシコのジマーマン(偶然だが前述と別人)の電報の内容をイギリスの諜報機関がアメリカ政府に開示した際のことについて語ったが、結局のところ『紳士たるもの他人の手紙を開かない』と言った具合である。
多分、のちにアメリカ政府が、PGPを公開したジマーマンを訴追した以前のおおらかな時代だっただけなのだろうに。
誰にも日記を読まれたくなければ、何も書かないにつきるということだろう。
Miklos Szalay and Robert Langh “Kalendarium”
会期:2001年4月19日(木)〜5月25日(金)
時間:12:00〜20:00
会場:C3 Gallery
住所:Hermina út 22, H-1146 Budapest
TEL:+36 1 488 7070
https://www.c3.hu
Text: Mark Griffith
Translation: Satoru Tanno