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ネット・ボイス・イン・ザ・シティ

THINGSText: Chibashi

日本でもネット関係には少しづづそういう連中は増えているけど、大企業がすぐにとりついてきちゃうので、アメリカみたいなベッドルームから仕事を大きくしていくという話にはなかなかなりづらいよね。ホームページ制作がビジネスになるなんて誰も考えていなかった時から、そういう連中がインターネットの可能性やホームページはビジネスになるんじゃないかという事で会社を立ちあげて、大企業と仕事をするようになったという歴史があるんです。その点は、日本って甘っちょろいよね。

TV、電話、FAX、ラジオなんておそらくそれはみんなアメリカがルーツだよね。それを日本では便利で素晴らしいものだということで輸入するわけだけど、それはおカミや大企業が輸入している状況にある。その背景になっているカルチャーの部分はほとんど知られてないんだよね。最近ようやくお話になってきたんだけど、TVっていうのもインターネットと一緒で、素晴らしい未来の為の道具という形で言われてきた時期があるんだよね。

アレン・コーヘンっていうヒッピーの元祖的な人がいて、彼が言うには今までラジオ放送はあったけど、画像を放送することはできなかった。映画はあっても。だからTVはすごい教育にも役に立つし人類の未来や進歩を促すものすごい強力なツールだってことで登場したと彼が教えてくれたんです。だけど、結局TVは商業的なくだらない娯楽番組の象徴になってしまったと彼は言ってるんだけど、もしかするとインターネットがこれからそういうものになる可能性があると彼は言っているんだよね。

一種の『アンダーグラウンド=インターネット』という図式が終わっていってる時代だと思うのね、だからそういう意味ではこの本は非常にタイミングが悪いなとも思うんだけど(笑)、最初に商用利用からすぐにインターネットに飛びついた僕の世代に代わる、インターネットの第二世代みたいな連中が、この本に書いてあることを読んで、インターネットの本当の事を知ってくれればいいかなと思うんだよね。

日本って加工貿易とか言われたのもそうだし、日本のテクノシーンは世界的に熱いと言われているけど、それはリミックスなんですよね。日本ってリミックスだし、僕らの世代は特にリミックスなんです。リミックスを馬鹿にする傾向ってあると思うんですけど、そういうのってどう思われますか?

いや、リミックスが優れているのは先端のヒップな連中はちゃんと認めるでしょう。僕は、『ジャパニーズ・プライド』という言葉を作っているんだけど、それを拡大していく作業が必要かなと思うんですね。でも先端のヒップな連中の中でピチカート・ファイブを知らないヤツはいないし、ボ・アダムスを知らないヤツもいない。スチャダラまでは知らないみたいだけど。だからそういった意味では徐々にエッジになっている連中は日本のバンドも見逃さないし、すごくいい評価をしてくれているところはある。だからそういう世代が進んでくれるしかないのかも。

あとはやっていくことだよね。違いを意識するのではなくて優れたモノ、面白いモノ、楽しいモノを沢山作ってやっていくことだよね。そういうことがしいては日本の考え方を一般の人たちにもまた違うものにしてくれる。エッジになる人たちが理解してくれるから。それがだんだんフツーの人たちにまで浸透していく。それがジャパニーズ・プライドになっていくわけだし。

例えば東京ほどのスピード感は、N.Y.にいってもサンフランシスコに行っても無いんだよね。エッジになる人たちはみんな東京に来ているし、東京好きな人は多い。古いものを捨てて走ってきちゃったんだから、後戻りはできない。世界中の中でも面白いマチだと思うよ。(笑)

このインタビューは、代官山のゲストというカフェで行われた。アンダーグラウンド・カルチャーを走り抜けてきた金田氏は、やさしくて愉快な長髪(ロンゲとはニュアンスが違う!)のお兄さんというカンジの人で、ユーモラスでクレバーな語りを聞かせてくれた。

話この後も延々と続き、壮大な世代論やアート論など、激論に展開するまでに盛り上がった。ここでは『ネット・ボイス・イン・ザ・シティ』に関する話をピック・アップしてみたが、また機会があればそっちの話もアップしてみたい。とりあえず、『ネット・ボイス・イン・ザ・シティ』を読んでみて欲しい。インターネットをやる傍らに置いておくのにふさわしい一冊だ。ロード待ち時間に、平易でわかりやすく書かれた金田氏の思いをつまみ食いするのも一つの楽しみ方だろう!

ネット・ボイス・イン・ザ・シティ
アスキー出版局 1,600円(税別)
表紙はスージー甘金氏。
https://www.y-kaneda.com/cyber/

Text: Chibashi

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