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プリマベーラ・サウンド 2014

HAPPENINGText: Julio Cesar Palacio

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Kronos Quartet

重複するパフォーマンスを見るために、3日目土曜日はステージからステージへと走り回る一日だった。そのなかで、土曜日の注目ライブであったクロノス・クァルテットのコンサートの席を取るため、早めに出向いた。しかし、同じことを考える人は多く、会場は早くから満席になった。クァルテットは、ブライス・デスナー、オマール・スレイマンやニコール・リジーなどの曲を演奏し、クラシック楽器とデジタル機材を融合させ、記憶に残るような素晴らしいパフォーマンスを繰り広げた。

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TELEVISON

クロノス・クァルテットの後、彼らの盛り上がりを維持するのは難しかっただろうから、カルト的なバンド、テレヴィジョンのクラシック「マーキー・ムーン」がちょうどよかった。2日目のパフォーマンスのなかでも待望のテレヴィジョンのライブの盛り上がりは少し遅く、トム・ヴァーレインは1977年のヒットアルバムを蘇らせるのに苦戦しているようだった。少し早すぎであり、期待が大きすぎたのかもしれない。しかし、テレヴィジョンはそう再結成されるバンドではない。時間は止まったように感じ、スリント、スロウダイヴ、ピクシーズなどほかの再結成バンドを見ながらもみんな同じことを感じ、嬉しく思った。

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Caetano Veloso

プリマベーラでは休む暇もない。レイバンのステージでは音楽レジェンドであるブラジルのカエターノ・ヴェローゾがユニークなライブの準備をしていた。若い頃からずっと聞き、その後もずっと映画や演劇、テレビでも聞いていたので、カエターノの生のパフォーマンスには興奮し、それは美しいものだった。スタンドで囲まれていたレイバン・ステージは、トロピカリズモの象徴的人物である70歳のカエターノの甘い歌声を聞きに来た観客で満席となり、レジェンドは思い出となるパフォーマンスをファンに贈ってくれた。

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Earl Sweatshirt

土曜日は、ヒップホップの注目パフォーマンスの日でもあった。最初にピッチフォークのステージでオッド・フューチャーのメンバーでもあるアール・スウェットシャツが自身の素晴らしいアルバム「Doris」から数曲演奏した。アールのライムは見事だが、それだけではなく、ヒップホップ界の若手としてカリスマ性もある。DJのみで行われたシンプルなステージであったにも関わらず、最高のライブだった。

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KENDRIK LAMAR

ヒップホップの勢いは止まらず、期待されていたケンドリック・ラマーのライブのため、ハイネケン・ステージへと移動。すると、なんと!ステージ上のラマーは、オールド・スクールなパフォーマンスを彷彿させるような大きなバンドにバックアップされていた。大きいベース音と震えるようなビートで力強いラマーはステージを支配し、パフォーマンスもサウンドも見事であった。観客も腕を左右に振りながら音楽にノリ、一緒に歌っていた。ヘビー級のチャンピオンがストレートを放すようにラマーはライムを踏んでいった。すばらしかった。

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Nine Inch Nails

最高なライブが続く強烈な一日だったが、フェスのメジャーなバンドがまだ残っていた。ナイン・インチ・ネイルズが装甲戦艦のようにソニーのステージを制覇する準備ができていた。彼らがステージに立つのを待っているのはたまらなかった。彼らのサウンド、照明とパワーは、ほとんど完璧なライブだった。トレント・レズナーとバンドメンバーたちは、ファンの期待をも上回った。今回のプリマベーラで恐らく一番のサウンドだっただろう。

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Mogwai

今年のプリマベーラという素晴らしい旅の終点には、分厚くて重いモグワイの力強いソニック・サウンドが、地中から空に向かって響き渡った。それはワールドカップを優勝するような壮大なものだ。体内に切り込むナイフのように、ギターが奏でるサウンドを体中で感じた。最高のフェスの完璧な結末であった。

熱狂する3日間の後、日曜日は平常に戻るための一日だったが、冒頭で語ったように、プリマベーラはより大きくて、より強烈で、より良かった。来年がもう待ち遠しい気分だ。ただ、日曜日もまだ見事なプログラムがあり、個人的に注目していたリズ・ハリス率いるグルーパーも登場した。このコンサートはバーツという特別な小さい劇場で開催された。

グルーパーのライブは素晴らしくて、美しくて、楽しかった。リズ・ハリスは、悲しみと哀愁の間の新しい風景を作り出し、それは劇的でありながら繊細で非常に美しかった。この親密で深奥なライブが大きな野外ステージではなく、この会場で行われたことにとても満足している。それは、プリマベーラ・サウンド2014の最高の終わらせ方だった。

プリマベーラ・サウンド2014
会期:2014年5月29日(木)〜31日(土)
会場: Parc del Fòrum, Poble Espanyol, Barcelona
https://www.primaverasound.com

Text: Julio Cesar Palacio
Translation: Makiko Arima
Photos: Julio Cesar Palacio

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