ミュージアム

PLACEText: Ayumi Yakura

北海道で生まれる最新のクリエイティブカルチャー発信拠点

本誌、SHIFTの新たなホームであり、北海道クリエイティブの今を発信する文化複合施設「ミュージアム」が、2014年6月、札幌に大正時代から建つ倉庫をリノベーションして誕生した。
歴史ある外壁は札幌軟石で、木造3階建ての内部にショップ、ギャラリー、アトリエ、オフィス、サロンを併設する店舗設計は、国際的に評価の高い北海道・佐呂間を拠点に活動する若手建築家・五十嵐淳氏に依頼。全体の監修をSHIFTが行った。

museumstore

1階の「ミュージアムストア」は、ファッションを中心としたライフスタイルデザインのセレクトショップだ。KAMISHIMA CHINAMI / YELLOWESTHER(エステル)、AI KOMORIMIDORI KAMBARA24Kgla_glaASCHE YAMAMOTOキトテ工作など、取扱商品はすべて北海道のブランド・クリエイターたちによるプロダクトで、店内で流れるBGMも北海道のミュージシャンによる楽曲から選ばれている。

「ミュージアムストア」に併設されたグッズセレクションの「スーベニア北海道」では、北海道のアーティストグッズやCD・書籍など、1万円以下で購入できる商品を中心に取り扱っており、旅行者が北海道へ訪れた記念や、お土産、プレゼントを選ぶにも最適だ。

clarkgallery

2階はこの度の「ミュージアム」創立に伴い、札幌円山より移転オープンした「クラークギャラリー+SHIFT」。クラーク画廊から引き継いだ1970〜80年代の版画コレクションを所蔵し、また、北海道唯一の現代アートのコマーシャルギャラリーとして、所属アーティストのマネージメントやプロモーションを行っている。ギャラリースペースでは主に現代アートの企画展を月替わりで開催していく。

ギャラリースペースの裏は、共同アトリエや写真スタジオとして、これから新たな創造の場となるよう工事が進められている。

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SHIFTのオフィスもこの度「ミュージアム」内に設置された。「ミュージアム」を象徴し、ロゴマークにもなっている白い家型は、ミニマルな外観でありつつ、内部は居心地の良いアットホームな空間となっている。

SHIFTオフィスの隣は、革製品のデザイン・製作を行う24Kのアトリエ兼ショールームとなっており、エゾシカの革を活用したバッグなどの製作風景を見ることができる。

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『すべてのデパートはミュージアムになり、すべてのミュージアムはデパートになる。』
施設名の「ミュージアム」は、アンディ・ウォーホルが残したこの言葉に由来している。
実際に日本でも「商業と非商業」「デザインとアート」の境界は曖昧となり、融合されてきているようだが、元を正せばそもそも境界など存在していたのだろうか。

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「ミュージアムストア」では、開放的なワンフロアにデザインとアートが並び、同様の値札が付けられ、不思議とそれぞれが持つ本来の価値が浮き彫りになっているように思う。
訪れた人は、非日常的な雰囲気の中でショッピングを楽しみながら、日常的に美しいデザインを鑑賞して自分好みのアートを購入するという、彩り豊かなライフスタイルを取り入れることができるだろう。

「ミュージアム」創立のきっかけは、2012年から北海道カルチャーを国内外へ紹介するプロジェクト「クリエイティブ北海道」だった。他の地方都市同様に、北海道からも国内外で評価される人材が少なからず輩出され、育てるべき新しい才能の芽が生まれているにも関わらず、残念ながら地元では活躍の場が乏しいという実情がある。
生産地として優れていても、消費する環境が未開拓のままでは、才能を発揮したいアーティストやクリエイターはマーケットを求めて道外へ流出してしまう。独自の文化が根付かない地域は、海外文化を真似ることでしか国際化できない。

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クリエイティブ北海道の2013年のプロモーションにおけるメインビジュアルにもなった「KAMISHIMA CHINAMI」は、北海道を拠点としながら東京青山に店を構え、パリコレクションの出品ブランドとして継続的に活躍している。そして「ESTHER」(エステル)のように、地域の才能ある若手デザイナーをプロとして起用し、伝統的な縫製技術と融合させながら新しいものづくりを展開するブランドも生まれている。

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「ミュージアム」は、北海道で生まれる最新のクリエイティブカルチャーの発信拠点であるのと同時に、クリエイティブビジネスの拠点として期待されている。オープンして間もなくエントランスに植えられたツタの苗は、やがて壁全体を緑の葉で覆うだろう。その成長と合わせ、今後の活躍を楽しみにしてほしい。

MUSEUM(ミュージアム)
住所:札幌市中央区南3条東2丁目6番地
電話:011-596-7752
営業時間:11:00~19:00(月・火曜日定休)
http://www.museum-store.jp

Text: Ayumi Yakura
Photos: Yoshisato Komaki

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