NIKE 公式オンラインストア

向京(シャン・ジン)

PEOPLEText: Emma Chi

あなたの作品の中の女性は美しくないように見えるのですが…

私は、私の作品の女性は皆美しいと思っています。しかし、その美しさは伝統芸術の中の審美ではなく、また現代のファッションモデル的な美しさでもありません。確かに私には現代において現代人を映し出し、雑誌や広告、チャートや流行によって覆い隠された人間性を明らかにしたいという願望があります。また“報道”を信用するのではなく、観客には私の作品の前に立ち、私のつくり出した“人”と対面し、自分の魂を見るように“彼女”を見てほしいと思っています。

xiangjing33920110210003.jpg

ある報道によると『シャン・ジンの作品は女性に注目しており、真実を以て魂を表している』と評されていますが、真実とは何でしょうか?

ここでいう真実とは、現実を再現することを指すのではありません。私が興味あるのは、観客の敏感な触覚やアートそのものの知性を呼び起こすことです。アートとはただ展示室の中に飾られた作品だけでなく、人間性を映し出すモノでもあると思います。

xiangjing33920110210004.jpgxiangjing33920110210005.jpg

女性というテーマはやはり大事なポイントですか?

女性のテーマとなると、また先ほどの狙いと目的の話になります。ある種の権力構造に焦点を定めたとき、私は回避する方法をとります。これは一般的によく見られる理解しやすい対立方法です。その後私はこのようなコンテクストの中では回避とは意味の無いことだと感じ、「何故自分は女性の体という繰り返し表現されているテーマを扱うのか?」「女性の身体というのは芸術史の中でどのような位置づけをされていたのだろうか?」「女性アーティストはみな敏感だが、特に性別問題に関しては更に敏感。私の本能の基本的立場は一体何なのだ?」というようなことを自分自身に問いかけるようになりました。もちろん私は女性の視点でこの世界を見ますが、単純な政治的性別の問題というだけではありません。この疑いようの無い前提のもと、私は今女性という立場で話をしています。話しているのは、女性はどのように考え、どうのように見るのかといった内容で、これらは私の作品の基礎の一要素となるものです。私は決して芸術史の中で語られてきたような女性ではありません。少なくともこのようなレベルにおいては、女性の身体というものが俗っぽいテーマだとは思いません。私が言いたいのは、このことは(私が)“一人称”で述べたのであり、これもまた“真実”の一部であるということです。

xiangjing33920110210006.jpgxiangjing33920110210007.jpg

素材選びは表現力を高めるのにどのような役割を果たしていますか?

ほとんどの場合、私は一般的なFRPを素材として使っています。人物彫刻を作ることが多く、FRPと皮膚の色身がよく似ていると思いこの素材を選びました。FRPはあまりクセが無いので、あらゆる方法で改良することができます。私も着色など新しい方法を試しています。手作業、普通の材料、普通の技術、私は素朴な方法でアートをつくるのが好きです。また、重要なのは人であって材料や技術はそれを助ける存在に過ぎないということを証明したいと思っています。

Text: Emma Chi
Translation: Daiki Kojima

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE