FUWL スタジオ&ショールーム

PLACEText: Victor Moreno

以前インタビューをおこなった当時のフォーム・アス・ウィズ・ラブ(FUWL)は、北欧家具やインテリアのシーンで売り出し中の若くエネルギッシュなスタジオであった。

しかし、今やFUWLは北欧の一部トップメーカーには欠くことのできないデザインスタジオだ。現在はムートボロンデザインハウス・オブ・ストックホルムアトリエ・リクタンサンタ&コールといった、10社以上のメーカーにデザインを提供している。

FUWLは多岐な分野を手掛けるデザインスタジオであり、その焦点には発想を根底に置いたデザインがある。2005年にヨン・レーフグレン、ペトロ・パルマー、そしてヨナス・ペッテションによって立ち上げられた。成長をとげたFUWLは、自ら手掛けたスタジオをストックホルムの中心部にオープンした。スタジオはショールームとしても使用される予定であり、FUWLはその新しいスタジオを展示やレクチャー、ポップアップ・ストアなどに利用し、ストックホルムのデザインシーンを活気づけるような空間にしたいと考えている。

FUWL studio & showroom

ショールームや旗艦店を持つのはブランドやデザイナーにとって自然なステップだと思います。ショールームのアイディアがどのようにして進展したのか教えていただけますか?

そうですね、旗艦店というほどでもなく、厳密に言えばショールームというのとも違います。これは単純に私たちのデザインスタジオなのです。期間限定のショップやレクチャー、展示などを始めとして、このスペースの利用方法に関するアイディアは山のようにありますけどね。実は、この場所をみつけるまでに、2年以上も新しいスペースを探し回ったんですよ。

スタジオの意図するものが伝わるように、このスペースを根本から改装したようですが,内装のコンセプトを教えていただけますか?

この場所は、ギャラリー、産業施設、そしてレゴからインスピレーションを得ています。スタジオの基礎は完全にニュートラルなものにしておきたかったのです。展示やその他のイベントでも使えるフレキシブルな空間になりますからね。

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無駄のない形、ブラック、グレー、そしてホワイト。これは北欧的なものなのでしょうか?それとももっと別のアイディアがあるのでしょうか?

もっと東の方を参考にしてもらった方がいいかもしれないですね。

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スタジオ内は3つのエリア、もしくは階に分かれた構造になっていますね。

基本的なアイディアは、3つの階をスタジオの役割毎に分けることです。ですから、最上階がオフィススペース、1階がスタジオスペース、最下階がワークショップのためのスペースになります。

スタジオをオープンするにあたって、クリエイティブな観点からあなた方がそのロケーションとして選んだ、ストックホルムの中心部のヴァーサスタン/サント・エリクスプラン地区について教えてください。

今まではストックホルムの中でもどちらかと言えば静かなエリアでした。しかし、今や多くのクリエイティブな業種がこの場所に目をつけ始めています。有名ギャラリーの一部はこの場所に集まっていますし、スウェーデンの小規模インディペンデントファッションレーベルの多くがオフィスを構えています。

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このスペースについて教えて頂けますか?目下手掛けている作品や今後の制作
物、アイディアなどなんでも結構です。

今は盛大なオープンニングパーティーが終わって落ち着いたところです。12月には期間限定ショップの展開を計画しています。それから2月にはストックホルム・デザイン・ウィークが開催されます。もちろん私たちも参加しますよ。

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世界のデザインシーンはさておき、ストックホルムにはデザインや創造に関する重要なバックグラウンドがあります。それをどう感じていますか?

ストックホルムは常にクリエイティブな場所でしたし、多くの才能ある人々が暮らしてきました。2月の家具フェアと共にデザイン・ウィークがこのように重要なイベントに成長したのは、私たちにとって素晴らしいことです。ミラノ、パリ、そしてロンドンに次いで、ストックホルムは家具や照明デザイナーたちにとって欠くことのできない場所です。北欧の国々の美的感覚は非常に似通っています。そう言うと、「北欧のブロンド」という50年代のステレオタイプイメージがありますが、それはもはや単純な考えでしかないですね。
すべての人が、インターネットからのインスピレーションなどで同じような物事に影響を受けています。北欧にはいまだにミニマリズムの影響がありますが、それがすべてではありません。実験的なデザインや平行した流れが多数存在しています。どこの文化圏でも同じだと思います。すべてがグローバル化しているのです。

特にどういったことがストックホルムの強みだと思いますか。北欧家具全体としての強みも教えてください。

代々受け継がれてきたものと普遍性ではないでしょうか。北欧にはデザインの伝統があるのです。たくさんの優れたデザイン学校がありますし、人々にはデザインプロダクトを買うだけの余裕があります。

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注目しているデザイナーやメーカーを教えていただけますか?

今はムートなどデンマークのブランドが多くの注目を集めていますね。ヘイ&トラディションノーマン・コペンハーゲンは非常に強い地位を築いています。スウェーデンのデザインブランドも頑張らなければなりません。デンマークの市場はデンマークの遺産、つまりアルネ・ヤコブセンなどのデザインを採用した、50年代や60年代のモダニズムブランドに偏ってきました。過去数十年に渡ってスウェーデンの家具産業は非常に活発でしたが、ここ3、4年は力を持った多くのブランドがデンマークから進出してきているのです。

北欧におけるインテリアデザインはニッチ市場だと思いますか?

北欧の人々にとってインテリアは非常に重要なものです。私たちは家財道具に尋常ではない金額をつぎ込みます。ですから、インテリアデザインはニッチ市場ということにはならないでしょう。その反面、大衆により認知されることでデザインシーンが恩恵を得られるのも事実です。北欧に住む人々はデザインやインテリアに大きな関心を抱いていますが、ブランドの名前も、どこで買えるのかも知らないのです。一般の人々や企業の人々が聞いた事もないような優れたプロダクトはたくさんあります。デザインの世界が外部の人々にとって不透明なのは残念なことですね。

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メインストリームに近づくためには何が必要だと思いますか?

方策の1つとして、おそらく起業家を増やしエゴや伝統を減らすことが必要だと思います。しかし、その一方でメインストリームの市場は難しいのです。非常に価格重視ですからね。ほとんどのトップブランドは、一般大衆を視野に入れていません。高い品質とデザインを備えたプロダクトに対する価格の許容度がないからです。代わりに多くの企業が契約サイドを重視するため、一般大衆にとってはデザインの世界が不透明なものになっていくのです。普通の人が質の高いブランドやデザイナーについてほとんど全く知らない主な原因はここにある
でしょう。

ミラノの家具見本市がヨーロッパにおける最も影響力のある展示会と考えていいのでしょうか?

おそらくミラノサローネが世界で最も重要でしょう。少なくとも現時点ではそうです。アメリカからの参加は少ないですけどね。アメリカは自己中心的です。あんなに大きな国であるにも関わらずデザインはないに等しいですし、デザインに対する興味もほとんどありません。しかしアジアは貪欲ですね。日本はもちろん特にそうです。そして、いまや中国や韓国も貪欲になっていますね。

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あなた方は通常ミラノサローネにどのような形で参加しているのですか?

通常クライアントと一緒に展示を運営します。新しいプロダクトをディスプレイし、盛大なパーティーで締めくくります。2009年の展示はポルタ・ヴェネツィアのギャラリーで行われました。スウェーデンのデザインスタジオの中で、自分たち独自の企画をするのは私たちだけです。私たちはそこで何かを制作したり売ったりはしません。私たちはデザインスタジオなのです。展示をまとめあげるには多くの努力が必要で、クリエイティビティを発揮し、どう動くか、そして楽しむということがすべてです。ミラノでは通常約20の北欧ブランドが展示を行っています。しかし、デザインスタジオが自分たちでショウをやるというのは珍しいのです。もちろん、自らショウをおこなうというのは、クライアントを手助けする方法の1つでもあります。クライアントによってはミラノサローネでの展示経験がないかもしれないですからね。

ヨーロッパ内の面白い場所を他にも教えていただけますか?新しくても、すで
に有名でも構いません。

ポーランド、特にワルシャワに活気があるようですね。私たちは現在、ポーランドの大手家具会社コンフォーティリビングの主催する、大規模な国際デザインコンペティションに参加しています。

新人アーティストの展示をFUWLのショールームでおこなってはどうでしょう?

それは素晴らしいアイディアですね!

2011年はどのようなフェアに参加する予定ですか?

今分かっているのはストックホルムとミラノですね。

FUWLにとってアメリカの市場はどうなのでしょうか?

現在アメリカのクライアントはいません。

日本でのディストリビューションについてはいかがですか?

現在、日本のクライアントのためにプロジェクトを手掛けている最中です。まだ名前は言えませんが。

日本で何かイベントをやる予定はありますか?

日本は私たちのデザインにとって理想の目的地です。北欧人と日本人はデザインに関して似通ったし好と考えを持っています。ですから、今後東京でなにかやることができれば本当に素晴らしいですね。私たちはストックホルムとミラノの両方で、「フォーム・アス・ウィズ・ラブ&フレンド」と銘打った展示会を予定しています。とてもオープンな展示で、パフォーマンスなども予定しています。私たちの活動を紹介し、楽しんでもらいたいですね。

FUWL スタジオ&ショールーム
住所:S:T Eriksgatan 106, 113 31 Stockholm
TEL:+46 (0) 8 21 80 02
info@formuswithlove.se
http://www.formuswithlove.se

Text: Victor Moreno
Translation: Kazuyuki Yoshimura
Photos: Jonas Lindström

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