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ディアゴナーレ 2009

国際的な注目を集めるオーストリア、グラーツの小さな映画祭。

Diagonale 2009

今年で11年目を迎えるオーストリア映画祭「ディアゴナーレ」は、5日間に渡って国内2番目の都市グラーツで行われ、オーストリアのフィルムメーカー達の注目の的となる。この映画祭の新総合ディレクター、バーバラ・ピッチラーが公式プレス会議の中で述べたように、2008年はオーストリア映画界にとって非常に良い年となった。これは主に、ステファン・ルゾウィッツキーのドラマ作品「The Counterfeiters (ヒトラーの贋札)」が、2008年アカデミー賞外国語映画賞を受賞したからである。ゴッツ・スピールマンの「Revanche (復讐)」は翌年2009年の同賞にノミネートされ、惜しくも連続受賞は逃したものの、この国の小さな映画業界の高い可能性を示唆することとなった。その結果としてオーストリア映画界は国際的な注目を集めるのみならず、この国の文化政策のレベルそのものを高めるまでに至った。国内では映画制作のための資本金の低迷が数年にわたり続いており、このアカデミー賞受賞は確実に、文化政策を担う政治家たちにこの国の映画を再認識させることになった。こうした背景もあって、ディアゴナーレ2009はオーストリア映画の可能性をあらためて強調し、発展させるための重要な映画祭なのである。

Diagonale 2009
ConceptFilm - Dorit Margreiter, Angelo View Drive (Prequel) 2004, C-Print, 80x120 cm, 2/3
© Courtesy: Galerie Krobath Wimmer, Wien

プログラムの内容はとても濃密だ。4つの映画館で237本ものフィルム・ビデオ作品が上映され、様々に分かれた部門が幅広い映画ジャンルを網羅する。この数日間、魅惑的な都市グラーツに集う映画ファンに、国内外のたくさんの映画作品が届けられるのである。長編作品から短編作品、ドキュメンタリー、実験映画やアニメーションに加え、2008年からはレトロスペクティブ部門や、オーストリア資本が50%以下の製作費の作品に対する外国映画部門もスタート。そしてもちろん、映画祭に欠かせない授賞式には、総額17万ユーロの価値を超える豪華な賞が用意されており、3月21日の式典で授与される。

Diagonale 2009
KleineFische - Marco Antoniazzi © Novotny Film

上映作品にスポットを当てるならば、まずは映画祭のオープニング作品であるマルコ・アントニアッツィ監督作品「Kleine Fische(小さな魚)」について語るべきであろう。異なる性格を持つ兄弟が、かつて彼らを廃れた魚屋に置き去りにした父親の死をきっかけに、お互いの関係を築き直していく様を描いた興味深い作品である。

Diagonale 2009
Contact High - Michael Glawogger © Luna Filmverleih

既に映画監督としての地位を確立しているミハエル・グラウガーの「コンタクト・ハイ」もまた、高い可能性を秘めた作品である。観客をポーランドへの旅へと連れ出す、奇妙でちょっと現実離れしたロードムービー。美しいクラクフの街や様々な場所で、主人公はおかしな事件に巻き込まれていく。

Diagonale 2009
Loos Ornamental - Heinz Emigholz © Amour Fou / KGP

輝かしい成功を収めたアーウィン・ワーゲンホッファーのドキュメンタリー「We Feed the World (私たちが世界を養う) (2005)」や、彼の近年の作品「レッツ・メイク・マネー (2008)」、そしてアカデミー賞ノミネート作品、フーベルト・ザウパー監督の「ダーウィンの悪夢 (2005)」によって、オーストリアはドキュメンタリーの分野において確実に熱狂的なファンを獲得している。ディアゴナーレのドキュメンタリー部門ではこうした状況に敬意を表し、様々なアプローチの作品が上映される。ハインツ・エミグホルツ監督作品「Loos Ornamental(ロースの装飾)」は、オーストリアの有名建築家、アドルフ・ロースの人生と仕事を、言葉で語ることなくイメージだけで描くという、熱心な映画ファンにとっては挑戦的な作品。ミハエル・シンデッガー監督作品「ダチア・エクスプレス」は非常に独特の作品で、ブカレストからウィーンへと向かう列車に乗り込み、乗客に語らせるもの。

Diagonale 2009
Oceanul Mare - Katharina Copony © Katharina Copony

キャサリーナ・コポニーのドキュメンタリー「Oceanul Mare (海)」は同じブカレストを舞台にしながら全く異なる作品で、ルーマニアの首都に暮らす外国人の立ち位置を外国人の視点から探るものである。コポニー監督は中国人移民のグループと行動を共にし、EU中最も新しい加盟国のひとつであるルーマニアに溶け込もうとする彼らのプロセスを描く。

Diagonale 2009
Interrogation Room - Dariusz Kowalski © Dariusz Kowalski

ディアゴナーレの期間中には、毎年数々のイベントがグラーツの街を賑わす。この街で最も重要な美術館であるクンストハウス・グラーツは、映画祭の予告編の監督も務めたダリウス・コワルスキーの作品「Interrogation Room (取調室)」を上映する(3月6日から4月26日まで)。企画展「コンセプトフィルム(I)」はメディエンテルム美術協会が開催する展示シリーズの第一部で、映画と現代美術の関係を探求するアーティスト、ドリト・マグレイターと、ウルスラ・メイヤーの作品を展示する。

あなたがもしこのオーストリアの小さな街、グラーツを訪れたいと思ったならば、映画祭開催中以上に素敵なチャンスはない。この街は、この国の映画の首都に様変わりするのだから。


Diagonale 2009
会期:2009年3月17日〜22日
会場:オーストリア、グラーツ


Text: Daniel Kalt from AUSTRIANFASHION.NET
Images: All images courtesy of the directors and film companys and Diagonale 2009
Translation: Shiori Saito

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