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アルマーニ 銀座タワー

THINGSText: Satomi Gentsu

世界に君臨するファッションデザイナー、ジョルジオ・アルマーニの日本進出20年の集大成である、アルマーニ銀座タワーが、2007年11月オープン。日本への深い理解と関係を重んじたアルマーニ美学が詰まったアルマーニ銀座タワーが、一冊の本となってスペインの出版社「ACTAR」から出版された。

アルマーニを賞賛してやまない人達が今回のプロジェクトに深く関わっているのも重々伺える内容で、本人に加え、建築家のマッシミリアーノ&ドリアーナ・フクサス夫妻のコメントも添えられている。
また本書には、エリサ・フクサスによる、日本人の繊細な四季に対しての感覚が織り込まれた、タワー内の映像も添えられている。

Armani Ginza Tower

1980年代、働く女性に対するファッションを打ち出した事で、ファッション界の異端児と称されたアルマーニは、そのキャリアに始まり、広告から全てにおいてグローバルな展開で押し進めている飽くなき探究心の人物である。
徹底した布へのこだわり、職人精神から生み出されるディテール、女性の官能美の追求は、言葉にできない感情を掻き立て、常に見るものを魅了してやまない。

恐ろしいくらいに変化をとげては止まない東京。夜のネオンは眠る事も無く、ただ過ぎいくことを実感する。
時間や人、分類する間もないくらい入り乱れた情報の数々が、交錯する街の一つである銀座。その街自体が反映されているのが、アルマーニ銀座タワーである。その外観は、昼間はガラスに、夜は点在する光が街と融合する。

Armani Ginza Tower

内装は、『空中に漂う蜘蛛糸のように軽く、絹のように美しい一連のスクリーンを通してアルマーニの世界を浮かび上がらせた』と、建築家自身がコメントしているように、そのスクリーンを通した際の光の陰影が美しくアルマーニの服と結合する。

光を用いて非物質化させる行為は、アルマーニの徹底的なリサーチの行為に基づくものであろう。建築家とアルマーニの緻密な連携が、理想的なクライアントであるという事も気づかせてくれる。
中に居ても外から来たという違和感を感じさせないのは、建物自体がその街そのものであるからかもしれない。

アルマーニの美学はこのタワーが存在する事で、改めて日本という国や人が持つ様々な感情、感覚、時間を教えてくれる。
その一つは、溶け合ってはいても、はかなくも過ぎゆく時間に飲まれる事のない、芯の強い繊細で控えめな女性像であろう。

Armani Ginza Tower

Armani Ginza Tower
出版社:Actar(スペイン)
仕様:22.6 x 17 cm
言語:英語/日本語
ISBN-10:8496954420
https://www.actar.es

Text: Satomi Gentsu

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