エクスペリメンタ・デザイン・アムステルダム 2008

HAPPENING

人類史上の大多数の都市人口に達し、本拠地リスボンにおける4回の開催を経てオランダ初進出となる「エクスペリメンタ」のテーマ「スペース&プレイス」は、デザインの制作や消費に対して新しい「グローバル」の方向性を祝した。エクスペリメンタのために企画された数々の展示や都市介入、講義や討論は、ラテンアメリカや韓国、中国に現れているのと同様に、広く興味深い才能たちの包含を反映し、そしてデザインが今やロンドン、パリ、ニューヨークのハットトリックをはるかに超えていることを証明する。エクスペリメンタは、私達のオブジェクトやスペースのカスタム化や個人化へのこだわりと共に、デザイナーと消費者のアイデンティティのはかなさにおいて拡大する談話を提示した。

エクスペリメンタデザイン・アムステルダム 2008エクスペリメンタデザイン・アムステルダム 2008
Qubus Studio “Come to My Place 1” © Edo Kuijpers


オープニングウィークのいくつかのハイライトを体験して楽しんだ私は、その様子をこれからここで紹介する。では「ドローグ・デザイン」のイベントから始めよう。「アーバン・プレイ」というそのイベントは、クリエイティブな都市の介入、彼らが称すところの「オープンソース・アーバン・デザイン」を祝う国際プロジェクトであり、ストリートレベルの創作力やエネルギー、改革が、その都市におけるクリエイティビティとアーバニズムの新しいフォームへの入り口となるという信条だ。

エクスペリメンタデザイン・アムステルダム 2008
Urban Play Poster by Droog © Scott Burnham

アーバン・プレイのプロジェクトは大きく2つあり、まずは世界で最も才能ある介入主義者たち19人の作品展がある。メキシコ人ギルバート・エスパルサから、ニューヨーク、ブルックリンのグラフィティ・リサーチ・ラボまでが、スコット・バーナム著の「ハッキング・リアリティー」に対する考察の元に集まった。.

エクスペリメンタデザイン・アムステルダム 2008
Boom Bench by NL Architects “UrbanPlay” © Scott Burnham

2つ目は、アムステルダム、セントラルステーションのIJウォーターフロントにおける、ドローグ・デザインとスコット・バーナムにまとめられた13の野外「介入」シリーズだ。何百人ものボランティアたちが4日間かけて完成させた、ステファン・セグマイスターの驚くべき250,000ユーロセントのインスタレーションがこれに含まれる。この作品は、市民と認可された都市のクリエイティブ表現の間にあるルールの変化を美しく具象化した。

エクスペリメンタデザイン・アムステルダム 2008
Stefan Sagmeister for Urban Play © Scott Burnham

残念なことに、このインスタレーションは一夜のうちに、疑いのある泥棒たちからこれを守ろうと熱心すぎる警察に解体されてしまった。つまり大事なところを見逃したのである!

エクスペリメンタデザイン・アムステルダム 2008
Miguel Vieira Baptista “Come to My Place” © Edo Kuijpers

パラディスコという古く壮大なダンスホールにて、世界の代表的なデザイン先駆者たちによる1回限りの講義シリーズ「アムステルダム・カンファレンス」が行われた。建築家のレム・コールハースアルヴァロ・シザ・ヴィエイラ、コンセプチュアル・コンサルタントのシリル・デュバル、グラフィックデザインの神とも言えようイアン・アンダーソンや彫刻的椅子や建物のマスター、ロン・アラッドなどがスピーチをした。

私は後半2つに出席した。彼らは明らかに準備をしていなかったのだが(アシスタントが用意したスライドショー以外は)私は彼らのまとまりのないスピーチも認めざるを得ない。なぜなら彼らはとても面白く、魅力的であり、話すほとんどのことが興味深かったからだ。

エクスペリメンタデザイン・アムステルダム 2008
Ron Arad “Amsterdam Conference” © Max Akkerman

アラッドは、過去の作品テル・アビブ・オペラ・ハウスについて、またローバーチェア(ローバー社の廃車シートと鉄パイプで作られた椅子)の歴史、その後身であるモアオーバーチェアについて、また彼が現在思い描く建築的な夢(スイス、クシュタートの破綻したアルペンにおけるスキーリフトが付いた壮観な回転レストラン)など未来のプロジェクトについて語った。

エクスペリメンタデザイン・アムステルダム 2008
Ron Arad “Moreover Chrome”

アラッドはまた、彼のデザインを堂々と不正に利用する中国の工場訪問の際に沸いた、境界線を壊す新しいアイディアについて語った。工場長の労働倫理や工場で働く200人の労働者達の依存を目の当たりにしたアラッドは、彼らがそのような複製をしなくても良いよう工場のために新しいテンプレートを作成することを思いつき、ヴィトラ社モローゾ社に協力を要請した。プロジェクトはまだ途中だが、アラッドはこのアクションが、今は批判的な密造問題を肯定的に解決するための、デザイナー達にとっての新しいスタンダードとなることを期待している。

エクスペリメンタデザイン・アムステルダム 2008
Ian Anderson “Amsterdam Conference” © Max Akkerman

続いてイアン・アンダーソンが『ルールを破らなければ、わからなかった』という「デザイナーズ・リパブリック」の無秩序な初期の頃の、興味深い逸話を披露した。話が盛り上がったのは、2人のパネリストがステージ上のアンダーソンを囲み、彼に現在の顧客マーケットや、大手クライアントのコカコーラ社との仕事における消費者心理について尋ねた時だ。なぜならこれは『働いて、買って、消費して、死ぬ』とアンチブランド倫理を掲げていたデザイナーズ・リパブリックにとって、明らかな転換であったのだ。

『確かに、裏切り行為の要素はあります』とアンダーソンは認めた。しかし当然ながら彼は続ける。コカコーラ社のようなクライアントの理念には道徳的には賛成しないかもしれないが、このようにグローバルな聴衆に届けることができるのは、デザイン分野内で精鋭集団であるよりも、とてもエキサイティングなことなのだと。

エクスペリメンタデザイン・アムステルダム 2008
POLKA “Cometo My Place 3” © Edo Kuijpers

最後に、その週のパーティで受賞したのはマルセル・ワンダースの「カム・トゥー・マイ・プレイス」だ。アムステルダム中心にある彼の素晴らしいカルチャー・フラッグシップ・ビル 「Westerhuis」にて公開されている。

エクスペリメンタによる展覧会では、グローバルなデザイン文化と地元特有のプロダクションを掛け合わせ、デザインを通したスペースの作り方を反映させるため、トビアス・ワン(アメリカ)や、OVO(ブラジル)、ミン・シュー(中国)を含む8人のデザイナーが参加を依頼された。 デザイン作品と地元の建造物からのオブジェクトを使い、この元学校の建物地下には8つの小部屋が収められた。私達の基本的なニーズを満たすだけでなく、文化的な存在である私達を表現するものとして、生活における公私環境を整える社会としてのニーズを探求するインスタレーションが、それぞれの小部屋に設置された。

私たちの新しくグローバルでローカル、そしてパーソナルな、それでいて公のデザイン世界であるエクスペリメンタ2008の具体化を祝うためにパーティで注がれたプラスチック製カップの中の暖かいシャンパンは、密集した幸福な人々の熱意を鈍らせることはできなかった。

ExperimentaDesign Amsterdam 2008
会期:2008年9月28日〜11月2日
会場:アムステルダム、オランダ
http://www.experimentadesign.nl

Text: Lotje Sodderland, Co-Director, Maxalot Gallery
Translation: Yurie Hatano

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