ギャラリー・ロケット

PLACE

ROCKETといえば、90年代後半から現在まで引き継がれる、グラフィックデザインとストリートカルチャーの運命的な出会いを象徴するスペースだった。言うまでもなく、BRUTUSや、VOGUE NIPPONなど雑誌のデザインをする集団「CAP」のギャラリーである。1996年の同潤会からはじまり、毎週のように展示(&パーティー!)という怒涛のラインナップで、移り変わりの激しいデザインシーンそのものだった。 2005年には一旦ギャラリーはクローズし、フリーペーパーに場所を変える。それでもROCKETという名前にはどこか存在感があった。だからこそ、2007年11月に南青山に再オープンするというニュースに、いろんな世代が反応したのだ。第4期はコンクリート打ちっ ぱなしのCAP本社ビル地下。コンセプトは、「夜のギャラリー」だ。

ギャラリー・ロケット


会社帰りや呑みに行く前にふらっと立ち寄れるように、開館は21時までとなっている。オープニングを飾ったのは、フラワーアーティストの青木むすびさんによる「夜の植物園」だった。この時は外気の肌寒さもそのままに、地下にひっそりと妖艶な植物園が出現したが、今後も“夜”をテーマに、夜の独特の気分を取り入れたエキシビジョンを行うという。藤本氏がROCKETを使って何を仕掛けてくるのか、とても興味深い。

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そして、2008年最初の展示が、“夜の古本屋”「CAP BOOK MARKET」だ。1930年代のEsquireや1950年代のLIFEなど、藤本やすし氏がコレクトしていたお宝ビンテージ雑誌を一挙放出。その“売り方の提案”を担当したのが、本とアイデアレーベル「NUMABOOKS」の内沼晋太郎である。

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内沼氏はマーケット空間を本を使ったアートスペースに変えた。地下に向かう階段の途中には、「カッコーの巣の上で」を ACQUA aoyama の美容師・伊藤和明が刻むという、カミを切るインスタレーション。そして、ニューヨークの「TOKYO BAR」にも飾られている、施井泰平の本の背をつなぎ合わせたお馴染みの作品が迫ってくる。階段を下りれば、飯田竜太のフライヤーの彫刻と、写真家かくたみほ氏の写真を文庫本のフレームに収めた作品が数点。奥には内沼×飯田×施井のユニット「森」による、「本+本+本=森 第2番 作品1」が、照明を浴びて佇んでいた。その中に、丁寧に梱包されたビンテージ雑誌が、古レコード屋のように並べられてある。

ギャラリー・ロケット

「森」による作品は、「ノルウェーの森」など、題名に森が象徴的に入っている作品を内沼氏がピックアップし、飯田氏と施井氏が作品に仕上げたもの。かくた氏と内沼氏のコラボレーションでは、タイトルと写真が屈折して浮かびあがり想像力を喚起する。これらの作品の共通点は、本や紙がマテリアルであると同時に、エディトリアルを飛び越えた文脈が生まれていることである。本は、タイトルや歴史的意義、あるいはあの人のオススメの本とか自分の人生を変えた本など、さまざまにメタな情報を持っている。それを紐解くことで、いろんな遊びの可能性が見えてくるのだ。

ギャラリー・ロケット

そんなアートに触発されて古い雑誌をディグするとき、思いもよらなかった視点がハッと頭をよぎるだろう。当時の広告のトレンド、世相と表紙の関係、「風刺」が大きなカテゴリーだった風潮。いろんな発見がだんだんと意味を持ち始める。もちろん、見栄え重視でも構わない。いつしか自分とのつながりが見えたのなら、それはきっとあなたが持つべきものだったのだ。

賑わいを見せる夜のブックマーケットは、いつも話し声であふれていた。その会話からお客はまた、買うべき理由を見つけていくのだろう。

gallery ROCKET
開場時間:火〜土 17:00〜21:00
住所:東京都港区南青山3-14-10 CAPビルB1F
TEL:03-5412-1815
hello@rocket-jp.com
www.rocket-jp.com

CAP BOOK MARKETは、2008年1月8日~12日までの開催。

Text: Yoshihiro Kanematsu
Photo: Hiromi Fujita, Miho Kakuta

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