イーストロンドン・アート・ウォーク

HAPPENINGText: Sawako Kanematsu

去る4月21日、コメント・アート主催のイーストロンドン・アート・ウォークに参加した。コメント・アートは、ロンドンのアート情報を発信する団体で、特にここの発行する「イーストロンドン・アート・マップ」は、ロンドン全域のギャラリー情報と位置を細かく網羅しており、アート/デザインに興味のある人は必携のアイテム(PDFでダウンロードも可能)。

このアート・ウォークは、コメント・アート代表のリーン・バーバーが企画・実行しているイベントで、毎週末小さなギャラリーの集まるショーディッチとベスナル・グリーンで行われる。ガイドとともに、2時間で6~10ヶ所のギャラリーを歩いて周るツアーだ。『小さなギャラリーで日々起こるロンドンのアートシーンの変化を、もっと沢山の人に感じてもらいたかったのが、このツアーをはじめた理由ね』とリーンは語る。

artwalks_01.JPG

今日のガイドは、自身も画家であり、ここイーストロンドンにアトリエを持つルシンダ。ツアーの参加者も様々で、アート収集が趣味の裕福そうなインド人の夫婦、南欧から来た若者カップル、出張の空き時間に、と言うベルギー人ビジネスマン、そして私たち。全部で10名弱で出発した。このエリアのギャラリーの多くは小さく、また呼び鈴を鳴らしてあけてもらうスタイルがほとんどなので、見落としてしまいがち。短時間で多くを巡れるこのツアー(しかも道に迷うことなしに!)、かなりお得といえるだろう。

しかも、全ての会場で、アーティスト、またはギャラリスト による展示の解説までしてくれる。といっても最初の2~3分程度で、あとはどうぞ自由に見てください、といったスタンス。ツアーへの参加の仕方も人それぞれだ。ガイドの話にじっくり聞き入る人、マイペースに行動する人。ツアーの途中で時間切れの人は、バイバイを言って抜けてもヨシ。あくまで自分のリズムで参加する感じだ。

artwalks_02.JPG

さっそく、興味深かったスポットをいくつかご紹介しよう。

イーストロンドンにおけるアートシーンの先駆者的存在であるギャラリー、ホワイト・キューブ。丁度前日にジェシカ・ランキンの初の個展がオープンしたとあって、館内はなかなかの盛況。ジェシカは、アブストラクトでいて宇宙や自然を感じさせるピクチャーを細かく美しい刺繍で表現するアーティスト。

2階にはそのソースと思われる沢山のスケッチが置いてある。世界中を旅して見た景色を、彼女だけの読み取り方でなぞっていく、その誠実さがにじみ出る透き通ったブルーの作品に、みんな言葉もなくじっと見入っていた。刺激的なこのエリアでも、ここホワイト・キューブの圧倒的な存在感と選定アーティストのクオリティは、ずば抜けていると感じた。

続きを読む ...

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE