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アレキサンダー・ゲルマン 展

HAPPENING

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ギャラリーに向かって階段を抜けると、黒いそれがギョっとおもむろにあらわれた。天井から通り抜けてきて、微妙に浮かんで静止している。奥にはブラック・オン・ブラックとでも言えそうな一連の平面作品。2月3日から3月4日までNANZUKA UNDERGROUNDで開催された「Little Black..」は、今もっとも同時代に影響を与えているアーティストのひとりアレキサンダー・ゲルマンによる最新インスタレーションだ。


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これを目の前にして、鑑賞者はただワクワクするだろう。まじまじと眺めたり、あるいは近づいたり、それぞれの被写体として、自由に黒い物体を見立てる。地表との隙間に寝そべってもOKだ。運動とともにホワイトキューブを切り取るブラックボックスは、景色を任意にフレーミングしながら、多彩な知覚の喜びを教えてくれる。同じ黒なのに決して同じでないことを、戯れながらカラダで知らしめるのだ。

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飛び出すスケールの真っ黒い立方体と、一転グラフィックで表現された繊細な黒の差異。この作品は、「重量の知覚と空間の次元性に関して、ゲルマンが進めている研究の一環」という。立体は黒に無限のスペクトルを与え、連続する平面は知覚を極度に抽象化するのだ。ギャラリー内を行き来して、次第に立体と平面が交錯していく。こうして、光を吸収する色のないはずの闇は、都度変化する光とキメ、表出と遮断の繰り返しによって、無限の艶を持ち始める。

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ゲルマンは言う。「この作品が彫刻なのか、純粋な形状の対立なのか、あるいは知覚における実験なのか、アイロニーなのかなどといった定義づけや分類には興味がありません。言葉による説明は控えておきます。私にとってこの作品は、美に関するものなのです……」

「美は物体にあるのではなく、物体と物体との作り出す陰翳のあや、明暗にある」とは谷崎潤一郎である。美を想像するためのインタラクションの細やかな「あや」さえも、ゲルマンの手にかかっては抽出可能なのだ。言葉は要らない。何かと何かが関係していることを指し示す、研ぎ澄まされたビジュアルがそこにあるだけである。

ALEXANDER GELMAN [LITTLE BLACK..]
会期:2007年2月3日〜3月4日
会場:NANZUKA UNDERGROUND

Text & Photos: Yoshihiro Kanematsu

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