パーラ・モード
PLACEText: Nem Kienzle
三階にはマニュエラ・シュレンプとアディ・エラット率いるヴァルテザール(待合室)という名のギャラリーが入居している。ここではトーマス・ギャラーによる展示が催されていた。ヴァルテザールも非営利を目的に若手アーティストを紹介しているギャラリーだ。
パーティーも盛り上がってきたころ、表通りに人だかりができはじめた。
蛍光灯に照らしだされたショーウインドーの中で、アーティストのアリエル・ツムシュタインとニクラウス・ルエッグがパフォーマンスを始めた。一人はインディアン、そしてもう一人はカウボーイの格好をして、白い台の上に首だけ突き出し、じーっと観客を眺めている。じっとしているだけで長いあいだ何も起こらなかったのでさっさと帰ってしまったのだが、あとになって聞いたところによると、インディアンとカウボーイの間で異人種間の議論が交わされたようだ。
パフォーマンスを見ようとパーラ・モードのショーウインドーに集まるパーティーゲストと通行人。
インディアンとカウボーイの衣装を着たアーティストのパフォーマンスに見入っている子供。
もう一つ見逃してしまったパフォーマンスに「真夜中のミサ」があった。これは自称レウモンド牧師なるアーティストが、パーティーゲストを拝礼者にたとえて宗教の儀式を真似た架空のミサを演じたもの。意味のない説教をしたり、パーティーゲストと共に主の祈りを唱えたりして、なかなか盛り上がったパフォーマンスだったようだ。
おとなしく封鎖的で知られるスイスでこれだけ自由な活動ができるのも、赤線街という常識外れな土地柄でこそ実現できることなのかもしれない。これからもパーラ・モードから次々と新しいアートが発信されることを楽しみにしている。
Perla-Mode
住所:84 Langstrasse, CH 8004 Zurich
TEL:+41 (0)44 240 0481
Text: Nem Kienzle
Photos: Nem Kienzle