パーラ・モード

PLACEText: Nem Kienzle

スイス、チューリッヒの赤線街で知られるラングストラッセに新しいアート発信地が誕生した。その名もパーラ・モード。ホテルに改装される予定の3階建て雑居ビルをそっくりそのままスイス人建築家が買い取り、今月より地元アーティストに破格の家賃で貸し出しすことになった。

パーラ・モードは布地・洋服屋だったときの店名に由来している。不動産価値が非常に高いチューリッヒ都心部でありながら、お金がないアーティストが作品を制作・発表したり各種イベントを催すことができるこのスペースは、チューリッヒのアートシーンには今までなかった貴重な場所となりそうだ。

2006年9月21日、テナントに入ったアーティストが集まり、オープニングパーティーが催された。千人近いゲストを迎え、各フロアで色々なイベントが同時進行で行われた。


パーラ・モードの正面入り口とフレイモンド・グス&Co.ギャラリー。

ストリートに面する一階には、フレイモンド・グス&Co.のファインアーツ・ギャラリー、ニーブス・ブックスのジンギャラリー、そして音楽家アヤナ・ドラキュラのアトリエがある。

フレイモンド・グス&Co.はジャン・クロード・フレイモンド・グスがスイス人若手アーティストによる作品を専門に紹介しているギャラリーで、ジャン・クロード自身もアーティスト。2002年より非営利を目的に地元アーティストの作品を自由な空間で紹介し続けて来た。

スイス一小さい出版社で、世界中からのアーティストを起用したジン・コレクションで知られるニーブス・ブックスは、一階のギャラリーの他に、二階にオフィスを構える。パーティー当日はフリーランスエディター・林央子による 「here and there 2006 vol.6」の発売を記念し、服部一成デザインのポスターや本が展示・発売されていた。ベンジャミンのお母さんとお姉さんが特別に焼いて持ってきてくれたケーキやクッキーは大好評で、ショーケースの上に置いてあったのもつかの間、あっというまにゲストに食べられてしまった。


ニーブス・ブックスのギャラリースペース。ショーケースには過去のジンやアートブックがずらりと並ぶ。壁にはジンシリーズやロゴのポスターが。

音楽家アヤナ・ドラキュラのアトリエは木の家具や洋服に埋もれて誰かのうちのリビングのよう。壁一面にはポスターが貼ってあり、ふたを外したピアノが二台並んでいる。ここでは毎週木曜日にクラシックコンサートが催されており、パーティー当日もサックスとピアノの生演奏があった。アトリエのソファでくつろぐ観客、カーペットの上で夢中になって音楽にあわせて踊る子供たちの姿が、アットホームな雰囲気をかもし出していた。

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