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岡本太郎「明日の神話」

HAPPENINGText: Yoshihiro Kanematsu

夏休み真っ盛りの7月8日から8月31日まで、汐留で岡本太郎作「明日の神話」が公開されている。1960年代後半、「太陽の塔」がこの世に生まれたほぼ同時期に制作されるも、メキシコでずっと行方不明になっていた幻の巨大壁画。日テレ内のゼロスタ広場では、偉大な芸術家による伝説の作品を一目みようと、子どもからご年配の方まで、まさに老若男女が集まっていた。

いざ絵の前に立ってみると、黒地に赤がほとばしる色の痕跡に圧倒される。それでも僕たちは、ただ立ち尽くすばかりではない。原爆の炸裂の瞬間を目の前にしても、僕たちは確かにここに生きていて、この絵に何かを照らし合わせるのだ。

『タイトル「明日の神話」は象徴的だ。その瞬間は、死と、破壊と、不毛だけをまき散らしたのではない。残酷な悲劇を内包しながら、その瞬間、誇らかに「明日の神話」が生まれるのだ。』と岡本敏子さんは語っている。

遠くメキシコから持ち帰って、約一年かけて修復された桁外れのマスターピースは、時を超え、生き生きと何かを物語っていた。

熱い夏休みの会場は原色に溢れ、すっかりTAROワールドと化していた。「座ることを拒否する椅子」ならぬ「通ることを拒否する入り口」があったり、壁画を見てみなぎる気持ちをビデオメッセージに残したり、太郎を間近に喜々と遊ぶ姿が目立つ。中には「明日の神話」に触発され、5時間も絵の前に座り込んで、作品をつくりあげた美大生もいたそうだ。

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