NTT ICC オープン・スペース

PLACEText: Yasuharu Motomiya

昨年末より一時休館していた、NTT インターコミュニケーション・センター(ICC)が、展示を一部開放し図書館やカフェ、ミニ・シアターなども兼ね備えた入場無料のコミュニティースペースへと発展的にリニューアルし先日新たにオープンした。

日本のメディア・アートの先駆者的作家から今後期待されるであろう新進のアーティストの作品まで幅広く、また国内だけに留まらず世界各国のアーティストの作品が展示されており、計14作家による17作品が観覧可能だ。展示作品についての詳細は、ICCのホームページに掲載されているので是非ご覧になっていただきたい。

このウェブ上では他にも様々なICCによる活動を確認することが可能で、シンポジウムのライブ中継や、ICCのこれまで館内の端末でしか見ることができなかった記録映像アーカイブ「HIVE」もウェブ上で公開されている。

このようなコミュニティー・スペースをICCは、「オープン・スペース」と名づけ、アート&テクノロジー、研究開発、ネットワーク、アーカイヴなどの各ゾーンに分かれた作品等が館内に展示されている。

入り口で最初に出会う作品、石黒猛による「サウンドポール」は、ネットワーク・ゾーンの作品になり、ボールと人との距離や動きによってポールから出る音のボリュームが変化する。

音楽はサイレントポエツの下田法晴が担当し作品を通してアンビエンスな体験ができる。また、この作品はネットワークにも接続されており、インターネットを通じてリアルタイムのポールと音と人の関係が端末上で確認でき、作品へ双方向からのアクセスが可能だ。

展示されている数々の作品の多くが、テクノロジーとアートと人が関係を持つことによって生まれる体験や経験を主題としていたが、その中でも分かりやすくまた、感覚と経験と作品が微妙にズレていて印象に残ったNTTサイバーソリューション研究所の鈴木由里子と小林稔による「風インタフェース」は、普段意識することがあまり無い、視覚、聴覚、触覚の関係性について一考させられ、なおかつ操作することが楽しい作品。

特別なメガネをかけることによって立体に表示された映像を先端がカップ状になった棒でさわるとその映像も変化し、また表示された映像の台座から同時に風が噴出しカップ棒に圧力を加えることによって触っているかのような感覚を生み出し、視覚、触覚への刺激が、あたかもそこには実際に物体が存在しているかのような体験を参加者に与える。

このインターフェースの内部が、どのようなテクノロジーで制御しているかまではわからないが、現実にそこにあるはずも無い物体の存在が感覚を通して伝わってくる体験は、作品を見て上に説明したこと、風が吹き上げカップ棒にあたり映像が変化することで作り出された仮想現実だと頭で判っていることの間にズレを生みだし、現実とは何なのかという壮大な疑問を想起させる。

メカニズムがより判りやすい形で提示してある作品だけにいままで出会ったどのパーチャル・リアリティの作品以上に仮想現実と現実との境界を普通の人にも経験を通して伝えていた作品であった。作品名にもある風の音はそのなかでも取り分け特異な存在感を持っていたのはなぜだろう。

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スティーブ・ベイカー
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