ザ・ラボ

PLACE


上海のインディペンデントなポップカルチャーシーンは最近何かが変化してきている。まず、月一の「アンチドート」オルタネイティブDJ、Dingxi Luは異端児や変わり者たちに左翼的な素晴らしいチューンを提供する。それからたくさんの新しいミュージック会場、プロモーター、インディーズギャラリーが今月中に次々とオープンするようだ。「Da>Space」「Yuyintang Warehouse」「Shuffle」や「Logo」などが挙げられる。

さて。この街のヒップホップのパイオニアの一人、DJ V-nutzは、フリーフォームのミュージックスペースをオープンした。ミュージック・スタジオでも、友人のためのリビングルームでもある「ザ・ラボ」というこのスペースは、街の中心にあり、ヒップホップの中核的存在になっている。何が最高かといえば、デッキやロフトの上で居心地の良さを楽しむのにも、上海の中心を見渡せる屋根の中庭でくつろぐのにも、1セントも払う必要がないことだ。

平日の「ザ・ラボ」では、誰もがそこで1200のセットアップを楽しむことができる。上海出身のV-nutzと彼のパートナー「フォーチューン」は、いつでも手に届く場所にいて、みんなとおしゃべりを楽しむ構えだと言う。また、毎週土曜日には別のヒップホップやポップカルチャーが中央のステージに現れ、すでにライブグラフィティ・パフォーマンス、MCのショーケース、上海のアート&ミュージックコミュニティーによるターンテーブルのディスプレイなどが予定されている。

『地元の人たちがたくさん来てくれれば嬉しいよ。ミュージックが大好きである必要もない。無料だからね。損することもないでしょう。』と、V-nutz。『とにかく来てみて、何か好きなものを見つけてよ。』

「ザ・ラボ」のコンセプトは上海のヒップホップシーンに転機をもたらす。クラブナイトや年に一度の「DMCチャンピオンシップ」(V-nutzは2002年、中国で初めてのチャンピオンを獲得)がヒップホップカレンダーのハイライトであるとして、「ザ・ラボ」はスキルや教育に焦点をあてた、より常置的なクラブではない環境を提供する。これは、イベント運営の壁を壊そうとするどんなシーンにとっても必要な要素だ。

V-nutz、またはギャリー・ワンや他の友人たちは、「ペガサス」というクラブにて木曜の夜にレギュラーで行われている、上海で最も大きなイベントの1つをリードする。これは街の「デ・ファクト」ヒップホップナイトであり、そのサウンドトラックはヒップホップチャートのヒットパレードとなる。しかしV-nutzの個人的なテイストは、不鮮明でユニークなもの。例えば60年代後半から70年代のレアなグルーブ。彼は時折、45年代としてプレイする。また、1995年から1999年まで日本大学で食物経済を学びながら、原宿のヒップホップストアで働いていた頃の習慣を今も続け、ちなみに彼の名前にある「V」はビニールからとったという。

V-nutzは1988年、多くのアジアの若者がそうであるように、ブラック・マーケットを通じてヒップホップ界にやってきた。

『1989年にヒップホップに足を踏み入れたよ。』と、彼は言う。『ヘビメタから香港ミュージックまで、あらゆる種類のテープを売る延安路(YanAn Road)のブラック・マーケットにいたんだ。何なのかもわからずに、あるテープを手に取った。家に帰ってチェックするとすごくかっこ良くてね。それが「RUN DMC」だったんだ。』

様々な意味で、V-nutzのストーリーは我々が住む“マルチ何でも世界”をごちゃまぜにして捉える。中国で生まれ、日本で学び、その両方の言語プラス英語を流暢に操り、ブラック・マーケットからヒップホップ界に入ったが、現在はそれを利他的に促進する。いずれにせよ、上海のポップカルチャーにおける「ザ・ラボ」の実験は、面白い結果を生むことだろう。

The Lab
住所:静安区州路343号5楼(武定路との交差点、地下鉄二号線静安寺駅下車)
TEL:+86 (021) 5213-0877
オープン:水〜日

Text: Wong Joon Ian
Photos: Wee Ling
Translation: Yurie Hatano

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