WE FEED THE WORLD

HAPPENING


『どうしてフードなのかって、これは僕達にとても密接で、毎日食べるものだからね。』と、オーストリア人映画制作者のアーウィン・ワーゲンホッファーは、彼の最新のドキュメンタリー「We Feed the World」のテーマを聞かれ、そう答えた。

ブルターニュの漁師が日々仕事に出かける海へ、一緒に連れて行ってくれた。彼は自分の生計を脅かす産業的漁業に警笛を鳴らし、『自然の精繊をなめてかかっちゃいかんよ。』と言った。港に戻ると、鮮魚店の主人が、その小舟で釣ってきた新鮮な魚と、漁獲用トロール船で揚げて市場に出す魚の品質の差を見せてくれた。『ただ売るためだけに捕ってきた魚だよ。』彼はそんな風に、営利目的の漁業のことを言ってみせた。

オーストリア人の映画制作者アーウィン・ワーゲンホッファーは最新のドキュメンタリー「We Feed the World」の中で、食糧生産について、その拡大化や商業化の影響について批判的な見方をとっている。「Fast Food Nation」のベストセラーに引き続いて、スローフードという新しい動向が出てきた事で、国際的な拡大路線を進んできたフードビジネスは精査され、軽視される対象となっているのだ。

映画「We Feed the World」は、数セクションに分かれる。”何故トマトはトマトの味がしないのか?”、”スイスの小麦80%を生産しているインド国民が、栄養不良に見舞われているのをどう説明するのか?”など、頭を悩ませる問題がセクション別に細かく描かれ、それぞれブルターニュに漁師、東ヨーロッパの交配種の使用、ブラジルでの大豆生産、そして世界的食品会社の1つ、スイス、ネスレ社を映し出す。取材を受けた人の中で、ネスレ社CEOでオーストリア人であるピーター・ブラベック・レッツマットはインタビュー中、自社について話し、西洋社会は食糧というものをどのように取り扱っているか見解を述べている。

国連の食糧担当官にも取材し、本作品で取り上げている諸問題は、マイナスの影響も含め、世界中の人へどう影響しているのか、映画の中で随所にその見解がはさまれている。とりわけドキュメンタリー作品に出演するような事のない人への取材インタビューを、どのように行ったのか質問された際、ワーゲンホッファー監督は、最初は絶対にカメラは持って行かないよ、と答えている。相手をからかおうとしているわけではないことが明らかになり、最終的に撮影を承諾するまで、実際、彼は1度と言わず、4、5回はカメラを持たずに取材のアプローチを行うのだ。

この映画を見ると、我々が口にしている食べ物はどこでどうやって作られているか、この産業化社会で、実に大量の食糧が生産され、また捨てられてもいるのに、何故多くの人が世界中で飢餓に苦しまざるを得ないのかを考えさせられる。言いかえれば、映画「We Feed the World」は、自分達は体系の一部であり、もし何かを変えたいと切望するなら、それはまさに我々次第なのだと教唆している。

「We Feed the World」はオーストリアの映画館で9月30日より公開される。


We Feed the World

監督:アーウィン・ワーゲンホッファー
オーストリア/2005年/ドイツ語、ポルトガル語、フランス語
http://www.we-feed-the-world.at

アーウィン・ワーゲンホッファー:オーストリアのアムステッテンに生まれ、ウィーン工科大学に学ぶ。アシスタントディレクター、アシスタントカメラマン、脚本家、映画監督等、多彩に仕事を行い、ドナウ大学クレムス校とウィーン応用芸術大学で講師を務めている。ドキュメンタリーや、オーストリア放送、バイエルン放送の番組、CM、ショートフィルムの作品がある。

Text: Christina Merl
Photos: Courtesy of Allegro Film
Translation: Mona (Mam-Can)

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