遠山敦展「AND YOUR BIRD CAN SING」

HAPPENINGText: Yurie Hatano

それぞれのキャンバスには、他の展示作品にも見られるオリジナルの鳥たちや、ギター、花、そして太陽を連想させる丸いオブジェクトが鮮やかな色と共に現われ、6つのキャンバスは同時に少しずつ仕上げられていくのだった。手から生まれる独特のテクスチャー感はもちろんのこと、その様子は遠山氏が直接鳥たちに触れながら、命を与えているようでもあった。

まさに “ライブパフォーマンス” とはこのことで、彼はそれらを仕上げる過程をも “作品” にしてしまっていた。というのも、彼の作品は仕上げまでに幾度も変化し、見るものの予想を見事に裏切っていったからである。例えば、もう完成に近づいたかのように見えた花のオブジェクトが、次の瞬間には濃い緑に塗りつぶされ、そのうちにその上からまた新たな花が生まれる、といった具合だ。つまり観客は、そのどの瞬間も見逃すまいと、食い入るように彼の制作を見守ることになった。常に壁には5つのキャンバスが掛けられている状態であり、それを入れ替える度の1コマ1コマが、見るものを楽しませたのだ。

そうしていくうちに、始めは緊迫していたかのように見えた観客の空気も少しずつやわらぎ、さらにDJがユーモアを交えて全体を和ませる。この展示会タイトルの「AND YOUR BIRD CAN SING」に呼応するように、時々さりげなくビートルズの曲が間に入ると、会場はさらに統一感を増した。パフォーマンスが進行する中、奥の小部屋で行われていたのは、Tシャツのステンシル・プリントの作業だ。本展のタイトルが入った遠山氏オリジナルのデザインプリント。また、彼はビームスTにもオリジナルデザインを提供しており、それも合わせて現在ソーソーに展示されている。

オープニングパーティは、遠山氏の静かな完成宣言と最後まで混み合っていた会場の大きな拍手、そして笑顔が交ざりあって、その幕を閉じた。命を与えられた6つのキャンバスは、会場にさらなる暖かさ、楽しさ、明るさをもたらして浮かび上がった。あなたはこの鳥たちから、どんな歌を聞くのだろうか。

遠山敦「AND YOUR BIRD CAN SING」
会期:2005年5月14日(土)〜6月30日(木)
営業時間:11:00〜21:00
会場:SOSO CAFE(ソーソー・カフェ)
住所:札幌市中央区南1西13 三誠ビル1F
TEL:011-280-2240
入場無料
協力:Phil co.,ltd.
https://www.shift.jp.org/soso/

Text: Yurie Hatano
Photos: Mayuga

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