リトル・レッド・ライディング・フード

PLACEText: Peta Jenkin

そこは、フレドリッヒ・ストリートにある、ベルリンのファッションセンター、クアーター206。名高いファッション・アウトレットの中に構えられたショップ、リトル・レッド・ライディング・フードは、銀河系を一人占めにした暗くて小さな星のような輝きを持つ。

ライトのインテリアが施された店内に踏み入ると、そこはただの販売スペースではない。ファッション・アウトレットを越え、「リトル・レッド・ライディング・フード」(赤ずきん)という名をもとにした、創作コレクションを取り巻く哲学の世界に入るのだ。この店は、主にアウトレットとして営業している一方で、アーティスト、デザイナー、フォトグラファーやミュージシャンと共に、アート・プロジェクトやイベントなどの形でコラボレーションを行っている。

店内には、マネキンとしておかれた白いプラスチックの狼や、切り株に無造作におかれたアクセサリーなどがあり、まるで小さなおとぎ話のような設計である。赤ずきんちゃんがこのおとぎ話の世界のどこかに隠れているような気にもさせられるし、もしかしたら新しいワードロ−ブを探して、この店にふらふら入り込んできた隣の少女が赤ずきんちゃんかもしれない。純朴な少女から謎めいたプリンセスに姿を変え、狼と友達になり、かえるの王女とキスをして、突然殺し屋に姿を変え、おとぎ話のなかの彼女の運命を果たし…と、まあ想像するのは自由だ。

店のポリシーの一部として、全ての種類の客にそのキュートで入手可能なノーブランドのピースを提供する、というものがある。それらのピースは豪華な装飾がついていたり、スタイルやカラーによって様々にアレンジされている。『誰にでも合うものが見つかります』と、オーナーでありマネージャーであるダニエラ・ゴーゴンズは説明する。『私達の目から見た最新のトレンドに沿い、新しくてユニークなそれぞれの季節の“ストーリー”を取り入れた上で、全てのお客さまに合う幅広いアイテムを提供しようと努力しています。』


Photograph for the ‘Black Reality White Dreams’ story by Tina Winkhaus

このシーズンの“ストーリー”である「黒い現実、白い夢」は、白くて逆立った襟のシャツ、黒いピン・ストライプが組み立てられたリトル・レッド・ライディング・フード仕様のパンツ、デンマークのデザイナー、へレ・マーダルによる幾何学模様がプリントされたスウェット・トップスなどと共に、「ハイテク・バロック」という方法で反映されている。

王女を担当するのは、デザイナーのフセイン・チャラヤンとアレキサンダー・マックイーン。フードをかぶるような(この場合ウッドでもいい)もっとタフな女性は、ラヴィス・レッド、エトニーズ、ナイキによるストリートウェアや定番服のセレクションを楽しむことができる。そうでなければ、白くてオレンジの縁取りのナイキ・ハイトップスと、黒いレザーのナックルダスター手袋という最新のセットを自分で探して、バックストリートのゴブリンや、熱狂的に向かい来る狼達との勇敢な戦いに挑む装備をするといい。

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