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ロンドン・メトロポリタン大学

PLACEText: Sari Uchida

北ロンドンのホロウェイは、観光目的で訪れるロンドンとは全く表情が異なる街。イギリス唯一の女囚刑務所、その名もホロウェイ刑務所があることで有名。街のまん中を走るホロウェイ・ロード沿いで、しばし移民が違法タバコを安値でバラ売りする模様がニュースで報道される。常に渋滞で混雑し、お世辞にもきれいとはいえない街。強いて利点をあげるならば、バスで 10分もあればカムデン・タウンやエンジェル地区など、若者でにぎわう街にでられる交通の便の良さと、土日に出没するマーケットで安く生活用品が買えること、だろうか。しかしそんなホロウェイに最近、名所が一つ誕生した。


グラデュエート・センター入口付近

3月9日に公式に開館した、ロンドン・メトロポリタン大学の「グラデュエート・センター」がそれである。デザインを担当したのは、ベルリンのユダヤ博物館を手掛け、最近では米同時テロ後のグランド・ゼロ復興計画にデザインが選ばれた世界的建築家ダニエル・リベスキンドである。


グラデュエート・センター別方向からの景観

「オリヲン・プロジェクト」と名付けられたこの建物は、3つのブロックが交差し、印象的幾何学的な大きな窓からは、内部のレクチャー会場、3つのセミナー室、オフィス並びに職員と学生用のカフェがあり、自然光が届くようになっている。表面はエンボス加工のステンレス・スチールパネルに覆われている。


交通量の激しい昼間のホロウェイ・ロード、及びグラデュエート・センター

撮影当日はこのパネルに灰色の空が写りこみ、輪をかけて周辺の侘びしさが際立っていたように見えた。両隣の建物の間に背の低いこの建物がスポッと納まっているが、デザインの奇抜さで周囲に与えるインパクトは大きい。しかしこんなに偉大な建築家が手掛け、話題になるべき建物なのに、前を行き交う車や歩行者は無関心を装う。

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