ザハ・ハディド展

HAPPENING


ザハ・ハディドというバグダッド生まれの建築家については、さまざまな逸話がある。気性が荒いとか、頑固だとか、周りをイライラさせがちな人だとか。彼女と会った10分後には、もう彼女とは一緒に仕事をしたくない、と思わず決意してしまう同業者もいるらしい。私は建築家ではないけれど、もしそうだったら、私はきっと彼らのように彼女のことを理解しないだろう。なぜなら、私はハディドが天才肌だということを受け入れているからだ。

ハディドは、女性としては世界で初めてその名が広く知れ渡った建築家。そんな彼女だって、はじめから頑固で、タフで、高飛車だったわけではない。彼女が世界中にビルを立てる程、影響力のある人物になること自体、当初は誰も想像だにしなかったことなのだ。彼女が初めて国際的に注目を集めたのは、1983年のこと。香港で開催された「ピーク」というコンペで1位に輝いたのだ。その後、 1993年には「ヴァイトラ・ファイアー・ステーション」を完成。これは、彼女にとっては初の大規模プロジェクトだ。

建築実験というフィールドにおいては、この20年間ハディドは、根気強く革命的な存在だったと言えよう。建物のお決まりのフォームを、妥協を許さない方法で打破。また、今日の建築に対する彼女の貢献も多大なものだ。影響力のあるもの、根底からすべてをひっくり返されたコンセプトで作られたビルのシリーズとして、人から人へと話される程の出来事だ。

2000年から彼女は、ウィーン大学美術学部建築デザイン学科で教鞭を取っている。最近では、ウィーン美術館(MAK)で展覧会を開催。ヨーロッパ、北アメリカ、そしてアジアで行った最新プロジェクトが紹介されている。大規模な都市計画、国際的なコンペ用に用意した企画、現代文化施設やスポーツ施設のデザイン、現在進行中のプロジェクトや、完成したビル、そしてインスタレーションに関する参考資料など、展示されている作品は実に幅広い。

しかし、今回の展覧会で一番大々的に紹介されているのは、実は彼女独自の空間実験「アイス・ストーム」だ。これは、MAKの為だけに彼女が取り掛かったプロジェクト。広さ300m2、高さ7mという空間を「インテリア・ランドスケープ」に変身させ、それを中央展示ホールで展開させているのである。展覧会へのハディドの建築的アプローチがもたらす、革新的な空間体験。建築家としての幅広い視野が、見事に表現されている作品だ。

模型、絵、演出、アニメーション、大判出力でプリントされたビルやプロジェクトの写真。その中には、すでに完成されたものもあれば、現在も建築中のものもあり、ハディドのデザインにおける高い技術の一面を垣間見ることができる。また今回の展覧会の「アーカイブ」や「主なペインティング」というセクションでは、多種多様なメディアや大判出力された作品を閲覧できることも、特筆すべき点。中には、今回が初公開となる作品もある。

Zaha Hadid Exhibition
会期:2003年5月14日〜8月17日
会場:MAK Exhibition Hall
住所;Weiskirchnerstrasse 3, 1010 Vienna

Text: Christina Merl
Photos: Zugmann from MAK
Translation: Sachiko Kurashina

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