白根ゆたんぽ

PEOPLE

今月から10月にかけての4ヶ月間、シフトがプロデュースする札幌のソ−ソ−カフェで「トーキョー・アート・フロントライン」と題する企画展が開催される。これは、最前線で活躍するクリエイタ−を札幌でも身近に感じることができるように毎月1人づつゲストアーチストを招き、展覧会とパフォーマンスイベントを開催するもので、その第一弾としてフィーチャーされるのが、今月号のカバーを制作してくれた白根ゆたんぽ氏。雑誌から広告、CDジャケットまで、幅広くイラストを手掛けるゆたんぽ氏にお話を伺った。


まずはじめに自己紹介をお願いします。

白根ゆたんぽというペンネームで東京でイラストレーターをやっています。1968年埼玉県生れで、デザイン学校を卒業後フリーのイラストレーターになりました。以前は「SPARK」というCGユニットを作ってフォトショップによる写真のコラージュ作品で仕事をしていたりもしましたが、その後は、アクリル絵の具を使ったイラストをメインに仕事をしてまして、3年ほど前から絵の具をマックに変えてイラストを描き、なんだかんだで約10年になります。

現在どのような仕事を手掛けていますか?

仕事の半分以上は雑誌のカットや、書籍の表紙などです。担当しているジャンルは、男性向け成年誌から女性向けファッション誌、子供向け学習誌などさまざまです。マンガも描いたりしています。その他の仕事はCDのジャケットや広告などです。今はオリジナルのDVDやフィギュアの制作にも着手しています。普段の仕事に追われてスローペースなのですが、なんとか年内には形にしたいと思っています。

仕事としてのイラストレーションと展覧会などでの作品とはどのように区別されていますか?

仕事でのイラストレーションの場合はクライアントからの依頼からスタートするものがほとんどなので、まずはクライアントに満足してもらうのが第一の目的になります。そしてそこをクリアしてからオマケ要素としていろいろなやりたい事を盛り込んでいくので、注文ごとに力を入れるポイントも変わるし制作のスタイルも変わります。

展覧会の場合は、自分の表現として会場の空間を自由に構成できる行為と考えていて作品のみでなく、会場の演出までが表現になると思っています。一応普段の仕事と同様クライアントでもあるギャラリー側のスタッフに満足してもらうよう努めますが、展示内容はゼロから自分で考えるので普段の仕事とはまったく違った作り方になります。種類は違いますが、楽しさでいったらどちらも楽しいです。

7月からはソ−ソ−カフェでの個展「PRTリジェネレーション」展が始まりますが、内容を教えて下さい。また、テーマとなっている「PRT=PhotoRetouch (フォトレタッチ)」についても教えて下さい。

昨年東京外苑前の「SIGN」にて行われた「PRT」展の巡回展です。写真をマック上でレタッチしてペインティング作品のように仕上げるという制作方法です。これは、誰にでも出来る作業工程で作品を作ろうという発想から始まりました。もともと後発的に作られた画風とか作品のスタイルから感じられる個性というものに興味がないので、その辺を取り除いた状態で作った作品をせてみよう、という実験でもありました。なので選ぶモチーフも一画面にいろいろなモチーフが配置されて構成されてるものでなく「髪の毛だけ」「下着のレース部分のアップ」「タイヤの溝のアップ」という感じでシンプルな物を選びました。

オープニングでは、ライブペイントを予定しています。ライブでフォトレタッチの単調な作業を見せてもちょっと退屈させてしまうと困るので、今回は普段仕事で使っているペインターというソフトで普段どんなふうにイラストを描いているかというのをお見せできればと考えています。あまりペインターでイラストを描く工程を生で見る機会も無いと思いますし、ペインター自体が使う人によって描き方が全く変わるソフトなので興味ある方には、いい機会だと思います。

フォトレタッチ作品の制作過程を教えて下さい。

写真を選んだり実際に自分でデジカメで撮影したものをマックに取り込みます。フォトショップで取り込んだ写真のレタッチに使いたい所のみをトリミングしてその画像をペインターというペイントソフトで開いて、そこでレタッチの作業に入ります。作業的には写真の一部の色を拾ってはその場所を筆のツールを使って塗り直すという工程です。コツは何も考えずにただひたすら画面をなぞるって所でしょうか。「バイトで例えたら時給820円くらいの作業」と呼んでいます。

写真を選ぶのにどのような点に気を配っていますか?どういった写真がお好みですか?

レタッチした後に面白いと思える写真。あとは大きい画面で見せたかったので近くで見ると模様に見えるけど2m以上離れると何が描かれてるのかはっきり見えてくるような構成の図柄を選んだりしました。

好みの写真は、いわゆるグラビアというか外人でも日本人でもアリなのですが、セクシーなピンナップ用の写真が好きです(笑)。「FHM」「MAXIM」といった雑誌を良く買います。とりわけ「Sports Illustrated」の水着特集は毎年のお楽しみになっています。作家性が感じられるものも好きですが、反対に貸しポジのような、どこか不自然な普遍性を備えた写真や適当に撮られた風景写真も好きです。

作品を作るにあたって、アイディアやインスピレーションのもとになるものはどのような物/事ですか?

現代美術の作家の仕事、映画、音楽、街の風景とか、当たりまえの話なんですが、ホントに生活全般です。あとは、旅行に行ったあとはテンションが上がって、その時の雰囲気や写真を作品に持ち込んだりすることが多いです。

また、イラストに関して言えば、現代の風俗や世の中の状況をうまく取り入れて描かなければいけない場合が多々あるので(今の20代の女性がどんな服を来ているか?とか、渋谷の街の雰囲気と表参道の描き分けはどうする?とか、今流行ってる飲み屋さんの内装とか、合コンの様子とか)いろんな方面に興味をもったり、家にこもりきらずに、適当に外出していろいろな外の風にあたるのも大事かもしれません。端から見てると遊んでるように見えるかもしれませんが、一応取材も兼ねてるという事で(笑)。

今回の制作していただいた、カバーデザインについて教えて下さい。何をイメージしどのように制作されましたか?

今回は、フォトレタッチの展示をするという事にあたって、その作品を再構成して動画にしようという所から始めました。あとはデータの画像なんだけど、紙に描いた状態を意識させる演出というか、まあ「実際にはやらないけど、描いたものを破るのって結構スッキリしそうだなー」という想像でしょうか。

最近注目している 物/事、人などがありましたら教えて下さい。

今更ですが、TIKIブームが僕に到来してきました。それともっと今更なのですが、今回ライブペイントするのにあたって、映像を表示させるソフトをいろいろ調べていたら、ちょっとVJをしてみたくなって家のデスクトップでVJごっこをやったりして遊んでいます。あとはマトリックスリローテッドが、面白すぎだったのですでに2回見ちゃったんですが、あと1回は映画館に足を運ぶと思います。

今後の予定を教えて下さい。

雑誌のイラストなどを描いていくのはもちろんなのですが、それ以外にこちらから発信する物をどんどん作っていきたいです。さしずめDVDとか作品集とかといった所でしょうか。
あと気付かれにくいのですが、今年の夏に御台場で開催予定のサザンオールスターズのイベントのビジュアルは、僕が描いてたりします。しかもこれもフォトレタッチ作品だったりします。フォトレタッチの作品も増やしたいところです。

最後に、読者にむけて何かメッセージをお願いします。

これからも硬いのから軟らかいのまで、いろいろと描いていきますので、よろしくお願いします。あと本や雑誌などを見ていて、面白い絵だなーと思ったらクレジットを見て、ついでに名前を覚えてくれるとイラストレーターは喜びます。そちらも気が向いたらよろしくです。

白根ゆたんぽ
ynpo@mac.com
http://www009.upp.so-net.ne.jp/yuroom/

Text: Sachiko Kurashina

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