カーゴリフターAGアリーナ

PLACEText: Paul Snowden

ベルリンから車で45分ぐらいの場所にある、ブラント飛行場のカーゴリフターAGアリーナこそ、おそらく、僕が今まで見た中で一番度胆を抜かれたものではないだろうか。東京っぽいスタイルの、未来の都市を再現したようなこのアリーナ。バスで現地に向かうまでの間、僕達は、ビジネス、お金、権力、そしてクリエイティビティについての疑問、それに対する答の数々を紹介するビデオを見ていた。残念ながら、ここでそのビデオの全てを説明するのは、あまりにも内容量が多すぎて難しいが、とにかくものすごく印象的な内容だった。機会があればいつか説明したいと思う。


© CargoLifter

上のような写真を見ていると、まるで宇宙の真ん中に立っているような気分にならないだろうか。それだけでなく、もしかしたらこれは、あなたの記憶の中で一番大きくて、モダンでデザイン性の高い建築物かもしれない。株主からの膨大な額の配当金で建てられたこの建物。シンプルかつ、かなり複雑なコンセプトが満載だ。そして何よりも、何もない時のこの建物の大きさは本当に計りしれない。しかも、信じられないかもしれないが、建てられてから今まで一度も、ここではイベントが開催されたことはないのだ。

思わず恐怖心さえも感じてしまったのが、今回のイベントについてのポスターだ。ポスター完成までに、何度も試行錯誤をしたようなのだが、僕は今だにこのポスターから、今回のこのイベントの主旨が何なのかがわからない。しかしどうやらこのポスターやイベントについてのアイディアは、誤解、誤信、クリエイティビティ、そしてカオスらしいのである。もしあなたが本当に、この縦350メートル、幅230メートル、高さ110メートルの大きなテントのようなアリーナに立っているとしたら、次に何を期待するだろうか?


© Stefan Kühn

この、ツェッペリン型飛行船を作るために作られたような建物はまるで、ドイツからインドにタービン(流水・蒸気・ガスの力で回転する原動機)を輸出するために作られたような赴き。倒産までに至ってしまったカーゴリフターAGは、ツェッペリン型飛行船を実際に作ったことはないのだが、もし本当に作ったとしても、その飛行船は空を飛べないだろう。きっとそこでは、現代的なゴーストタウンにいるかのような気分になってしまうことだろう。

今回初めて、2日間だけ貸し出されることになったこのアリーナ。マッセ・ウント・マハト(ドイツ語で群衆と権力の意味)とソフィエンセーレというグループによる、5時間に渡るモートン・フェルドマンの作品の演奏会が今回のイベントだ。フルート、キーボード、パーカッション…。それらが全て、この大規模で静寂に包まれた空間でパフォーマンスされたのだが、本当に驚くべく内容だった。そこには、いくつかベッドが設置されていたのだが、気が向いたら横になり「生きる意味って何だろう?」といった質問を自問自答しても良いのだ。そうしていると徐々に、瞑想のペースが気持ちのいいものになり、平和な気分に浸ることができる。もしかしたらそういった穏やかな状態というものは、現代的で科学的な死に共通するところがあるのかもしれない。イベントは全体的に本当に素晴らしかったし、スケールも大規模でワグナーのパフォーマンスを凌ぐ程、ちょっと大袈裟で、面白かったと思う。

CargoLifter
住所:Werft Briesen-Brand 1, 15910 Krausnick-Gross, Wasserburg, Germany
info@cargolifter.com
http://www.cargolifter.com

Text: Paul Snowden
Translation: Sachiko Kurashina

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