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マクロメディア・デベロッパー・カンファレンス 2002

HAPPENINGText: Keita Matsubara

今回のマクロメディア・デベロッパー・カンファレンス(DevCon)が、例年になく盛況だったかどうか? この手のカンファレンスに、まめに顔を出す方ではない自分にはよく分からない。しかし、いくつかのセッションが、誰の目から見ても刺激的だったことは間違いない。カンファレンスは、11月19日と20日の二日間にわたって、渋谷のセルリアンタワー東急ホテルで開催された。

このホテルは渋谷でもっとも新しくできた建物のひとつで、明治通りと青山通りに挟まれた場所にある。このエリアは、渋谷の中心街からすこし離れた場所に位置しているためか、近年、若いデザイナーや新しい事務所が集まりつつある地域でもある。

セッションは、40のワークショップ(講演)と、10のハンズオントレーニングから構成されており、その内容は3種類に分類される。まず、著名クリエイターが彼ら自身の作品について解説するセッション、次に、おもにデベロッパー向けのリッチメディアや「コールドフュージョン」について討議するセッション、そして、やや初心者向けのアプリケーションのチュートリアル、この3つだ。

マクロメディアの今回のプロモーション意図はハッキリしたもので、「コールドフュージョン」を日本市場に根付かせたい、という姿勢が明確だった。実際、デベロッパー向けのセッションのうち、半分以上がなんらかのカタチで「コールドフュージョン」を題材としていた。このサーバーサイド・アプリケーションは、海外での普及に比べると、日本での知名度はイマイチだが、MXシリーズの普及とともに日本市場にも浸透しそうな勢いではある。

さて、クリエイター向けのセッションとしては、まず19日に、IMAGE DIVE中村勇吾HI-RES!などのスピーカーが壇上に登場した。

中村勇吾のセッションは、99年から現在までの主だった作品をプレゼンテーションしたもの。話を聞いて感じたのは、中村氏の仕事がもはや狭義の「ウェブデザイン」の範疇には収まりきらないものになってきているということだ。むしろ氏の関心は「近未来のコミュニケーションやインターフェイスのありかた」に向かっており、それは単なる「スタディ」に終わるときもあれば、また時としてソニーの「コネクテッド・アイデンティティ」のような一種の「CI」的な仕事として結実をみせたりもする。しかし、いずれにせよ「ウェブ」や「デザイン」に収まりきらない射程を持った仕事ぶりであることは確かなようだ。

HI-RES!のセッションも刺激的だった。個人的にHI-RES!というと「ジャンプ・トゥモロー」や、「サード・プレイス」に代表される、綺麗なデザインとベクターベースのモーションのイメージを持っていたが、今回は初期の作品から、ドニー・ダーコのようなオルタナティブなテイストのサイトまでがプレゼンテーションされ、その表現の引き出しの多さにちょっとビックリさせられた。彼らがくり返し語っていた『大事なのは、表面的なデザインではなくアイディアなのだ』という言葉が頭に残った。

また、あいにくと自分は出席することができなかったのだが、20日には、イメージソース福井信蔵フリフリカンパニーなどのスピーカーも登場した。

カンファレンスを通じて、聴衆も多く、セッションも盛り上がっていたようだ。ただ、(この手のカンファレンスでいつも思うのだが)セッション会場のまわりは、手持ちぶさたに時間待ちをする人々や、出入りする聴衆で混雑し、ゆっくり座って談笑できるようなスペースが少なかったのがやや残念だ。

Macromedia DevCon 2002 Japan
会期:2002年11月19日、20日
会場:セルリアンタワー東急ホテル
住所:東京都渋谷区桜丘町26-1
主催:マクロメディア株式会社
https://www.macromedia.com

Text: Keita Matsubara

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