「ゲーム・オーバー・シティ」展

HAPPENINGText: Jeremie Cortial

スイス人のトビアス・バーンストラップは、 アーティストとパフォーマーという2つの顔を持つ。「非リアル」という作品がベースとなった、彼なりの現実っぽい偽の場所をゲームで表現しており、表面的に再構成されたベルリンにあるポツダム広場などを舞台に散策することができる。


Tobias Bernstrup, Potsdamer Platz, 2001

プレイヤーは、ほとんど人っ子一人いないような夜にそこを歩くのだが、冷たい通りを走り抜ける少女と、祈りを捧げている男だけが確認できる。この空っぽの街にある唯一のアトラクションは何かと言えば、2つのテレポーテーション・ステーションで、そこからは街で一番高いビルの最上階まで行く事ができ、飛び下り自殺をしたい人にとっては、絶景とも言える街の風景が見えるのだ。

この街には、バーンストラップの皮肉的な視線が注がれている。建築家のレム・クールハスが述べるところの「一般的な町」の概念を都市の描写で表現しているのだ。このゲームは、国際的な建築家によって建設された建物で作られるベルリンの再建案から着想を得ている。

Right: Reality check one by Felix Stephan Huber.  Photo by Andre Morin
Palle Torson, Sam, 2001

ペール・トーションの作品「サム」は、5歳の少女が主人公のバイオレンスゲーム(この作品は、パリにあるパレ・ド・トーキョーでも紹介された)。単純なインタラクティブ・インスタレーションというだけではなく、リアルな映像と現実サイズで投影されることによって、かなり没入感を味わえる作品だ。

現代アートのエリート主義世界における、ビデオゲーム作品の出現を紹介しているこの展覧会。ロンドンで現在も開催されている「ゲーム・オン」展のような、このテーマを取り扱った興味深い試みはヨーロッパの各地で開かれている。また、この展覧会のキュレーターであるローレンス・ドレイフスが、トビアス・バーンストラップの展覧会「ネクロポリス」の準備に取り掛かっているとのこと。こちらはパレ・ド・トーキョーで、9月23日からの開催だ。

Game Over City: La ville en jeux
会期:2002年5月17日~7月28日
会場:FRAC Champagne-Ardenne
住所:1, Place Museux, 51100 Reims, France
TEL:+33 (0)3 2605 7832
https://www.frac-champagneardenne.org

Text: Jeremie Cortial
Translation: Sachiko Kurashina
Photos: Courtesy of FRAC Champagne-Ardenne © the artists

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