エバンジェロス・パパゾグロー「恋人と別れる50の方法」

PEOPLEText: Bastiaan Rijkers

エバンジェロス・パパゾグローは最近、ちょっとハートブレイキングなアルバイトを経験した。恋人に別れを告げるのは、とても胸が痛むこと。しかし彼は、このプロジェクトの成功の為に2ヶ月間部屋に閉じこもり、ポール・サイモンの名曲に乗せて「恋人と別れる50の方法」というドローイングを完成させたのだ。

ベルリンのギャラリーから、そのロゴとも言えるイラストを発表してくれないか、とのオファーが来たのが、事の始まりであった。その後、このことが原因となり彼の恋愛には、予想もつかない出来事が発生。彼にできることは、タイポグラフィックのドローイングを制作することであった。これが「恋人と別れる50の方法」が始まった発端である。クリエイティブな存在で居ることの一番の特典は何かと言えば、それは、たとえあなたがフラれたとしても、それをバネに何かポジティブなものを作り出すことができることではないだろうか。

エバンジェロスが彼女と別れてから、ポール・サイモンの曲は、エバンジェロスが描く作品をテーマ化するのには最適な存在だった。その曲は、関係の終末を上と下、両方からおもしろおかしくキャプチャーしてくれるのである。マストリヒトから来た83歳の老女が、この展覧会の招待状を見た時にこう言ったそうだ、『恋人と別れる50の方法?』『私は一人の人しか知らないからねぇ…』。とにかく、エバンジェロス曰く、心を落ち着かせるには、このプロジェクトは最適なものであったし、彼の怒りや葛藤が、当時の彼にこう言わせたのだろう。

彼の作品は、ベルリンでは高い評価を受けた。『私の世代の多くが、この題材に関する経験を共有したことのある人たちなのです』とエバンジェロスは言う。その言葉通り、来場者は彼の作品の中で表現されている精神的な拠り所を見い出しているように見えた。そしてエバンジェロスにとっては、このプロジェクトがかなり個人的で、内密なものであったとしても、どんな人にも語りかけるようなユニバーサルな力が作品にはあると感じていたのだ。この展覧会を見に来たことを記憶に残る経験として心に刻むことで、 最終的に人々はつながりを深め、参加型の展覧会になったのである。

現在は、10月に行われる「SOLD」というグループ展覧会のグラフィックデザインの作品を手掛けているエバンジェロス。これは、クリスティーズ・アムステルダムとジム・ベアード・ファンデーションによる共同イベントだ。また彼は、「FAQ」(よく寄せられる質問)というタイトルの下、別のドローイングの制作にも取り掛かっている。最後に、まだ愛が何か変化をもたらすことができると思っているか、聞いてみたところ、『当たり前でしょ!』という答が、即座に返って来た。

ギリシャ生まれでアムステルダムを拠点に活動するエバンジェロス・パパゾグローは、アメリカのセントルイス大学でマーケティングを専攻し、ロンドンでグラフィックデザインを学んだ。そしてオランダのマストリヒトにあるヤン・ファン・エイク・アカデミーで、デザインプログラムの大学院修士過程を終了。アムステルダムでの活動を開始してからは、フリーランスとして活躍し、彼独自のプロジェクトを展開している。彼のポートフォリオは、サイトで公開中。

Evangelos Papazoglou
住所:Ceintuurbaan 434-B, 1074 EB Amsterdam
TEL:+31 (0)20 662 3760
paravion@xs4all.nl
http://www.paravion.nl

Text: Bastiaan Rijkers
Translation: Sachiko Kurashina

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