ふしぎの森のDOB君

THINGSText: Akira Natsume

全然テキストが書けなくて、テキストが恐い。かなりマジメに。だって、テキストはマルチメディアの究極形態だって思っているから、テキストは森羅万象を暗号化してビジュアル化したものだと考えているから。最近は漢字が、漢字に見えなくてグラフィックに見えてくる。普通に漢字が書けなくなってきた。一つ一つのビジュアルを組み合わせてイマジネーションのビジュアルを作りだす文字、なんてサイバーパンク!!。文字を発明した人は偉い。いつの時代もこの文字を使ってリミックスして何かを伝えるしか方法がなかったんだから。著作権とか、常識とか、コピーとかいろいろ世の中には問題があるらしいけど、でもそんな問題を叫んでいる人達も文字を使ってリミックス作業をしていると考えた亊はないのだろうか?そんな亊を考えているのは俺だけだろうか!?真剣に考えすぎていると社会から抹殺されるか。
究極のコミュニケーションツール 文字 そんな尊敬の念を込めて、この場を借りて、みなさんと文字のコミュニケーションを計り、テキストの勉強させていただこうとしているんです。もしよければ、少しの時間つき合ってください。

最近、文字以外に、僕のイマジネーションを刺激して、文字以外の脳内のテキストを導き出した秀作は、「DOBSF ふしぎの森のDOB君」。 アート界においてアブストラクトでアジテートな活動を続ける村上隆が、 1994年ごろから作り続けているキャラクターDOB君を主軸にした作品集。この作品集は、渋谷パルコで今月末まで開かれている同名の展覧会のカタログとして流通している。

ADは、バッファロードーターの山本ムーグ、編集はDr.BTこと、楠見清。株式会社美術出版社から出ている。この本を正確にテキストとして表現する手段を僕は持ち合わせていないが、DOB君が 90年代を生き抜き、日本のPOPカルチャーを食い続け、変容、膨張していく姿は、まさに、この時代の持つ聖と、邪、シンプルとカオスを、一冊の本の中で余すことなく表現している。しかもものすごい早さで。そして、所どころに置かれたテキストは、まるで地雷のように、見る物をどこかに吹き飛ばして行く。

村上隆はここにきて、この本と、広告批評の特集「トーキョーポップ」で、90年代を時間の海に沈める破壊的な爆弾、90年代のバイブルを生み出した。と僕は山の手線が横を走ってうるさい自宅の机の前で勝手に思っている。

Text: Akira Natsume

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