岡本太郎 記念館

PLACEText: Atsuko Kobayashi

青山骨董通り裏に突如現われる、この辺りでは珍しい背高い南洋植物が生い茂った古い洋館。一昨年亡くなった芸術家、岡本太郎の自宅であったこの家が改装され、今月から記念館として一般公開された。

「芸術は爆発だ!」という言葉と、両手を前へ突き出した独特のポーズ。大阪万博時から今も建つ「太陽の塔」と、青山子供の城のモニュメント「子どもの樹」。岡本太郎について、私はこれくらいの知識しか持ち合わせていなかったが、残された他の作品の素晴しさをこの家で改めて間近で見ることができた。

作品の多くは来春川崎にオープンされる岡本太郎美術館に移されているため点数は少ないが、庭、2階建ての部屋と応接間、アトリエが解放され、絵画、彫刻、オブジェ、家具や食器が展示されている。展示はショーケースに入れられて大層に飾られているわけではない。まだそこで生活しているかのように無造作にゴロゴロと転がっている感じである。

座面に目や鼻のついた「座ることを拒否する椅子」や、横に並んで座った者同士が斜めに向き合うようになるカーブの付いたソファー「駄々っ子」など、擬人化された強烈なインパクトを受ける作品は、見ているだけで愉快になってくる。岡本太郎は家具から食器に至るまで多くの依頼注文を受けてきたそうだが、どの仕事も全て嬉々として作ったという。「生活の中の創造的な笑い、生命感溢れる遊び」を求め続けた作品は脳裏に焼き付き、心にぽっと火の灯るようなとても印象的なものだ。

パブリックアートの大きな作品が有名なだけに、椅子やコーヒーカップ、ネクタイといった身のまわりのデザインを多く残している事に驚いたが、実は絵画、彫刻、デザインに留まらず、芸術論や日本の縄文文化などについての書籍や、写真、さまざまなアートサークルのオーガナイザーと幅広く活動していた岡本太郎。

漫画家・岡本一平、詩人・岡本かの子を両親に持ち、パリに留学、マン・レイに写真を学び、川端康成の支持を得て活動…、作品はもちろん、生き様も今とても興味深い。
『本職は何か?』と聞かれて『本職なんてありません、強いていえば“人間”です』と答えていたという氏の猛烈な生涯の一部を見ることができる場所がここ。青山に行ったらぜひ覗いてみてほしい。

岡本太郎記念館
住所:東京都港区南青山6-1-19
営業時間:11:00〜18:00(入館は17:30まで/火曜休館)
TEL:03-3406-0801
入場料:600円
http://www.taro-okamoto.or.jp

Text: Atsuko Kobayashi
Photos: Atsuko Kobayashi

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