+81

THINGSText: Atsuko Kobayashi

1997年8月25日に「+81」という新しい雑誌が創刊された。グラフィック集団「TOMATO」、音楽誌「DAZED&CONFUSED」、プレイステーションソフト「パラッパラッパー」ディレクター、香港のファッションデザイナー、パリの雑誌編集部など、ロンドン、パリ、ニューヨーク、香港、東京の都市で今、注目されているクリエイター達の実際の現場、生の声が日本語/英語のバイリンガルで紹介されているという、かつてない新しいタイプの雑誌だ。

「+81」は日本の国番号である。81とダイヤルし、電話回線やインターネットを通じることで日本から世界中のクリエイターへとリンクされていく、そんなイメージが具現化され、一冊のブックの中に集約されている。
編集長であり、全てのディレクション、編集を行っている蜂賀亨氏に、+81が実際に作られている現場にお邪魔し、お話を伺った。

+81という雑誌を創刊されたいきさつから伺えますでしょうか?

もともとグラフィックデザイン関係中心の「TIMING ZERO」(タイミングゼロ)というプロジェクトをやっていたんです。これはインディーズラインで、タイクーングラフィックスとか松本弦人さんとかに声をかけてビジュアルだけで攻めた、というものなんだけれども、一番最初にやっていたのはかなりコアな内容のもので、その次はポスタータイプ、ケンイシイのインタビューとかやってました。あと、BEAMSで谷田(一郎)さんのイベントのコーディネイトをしたり、常磐(響)くんの展覧会のコーディネイトとか、ビジュアル系、グラフィック中心に活動していたんですけど、、、その延長線上で、作ったのが+81です。ファッションとかミュージック、グラフィック、ヘアメイクとか、ゲームクリエイターとか、いわゆるクリエイターの人たちの境界をとっぱらった何かをやりたいなと思ったのがきっかけです。D.D.WAVEの山下の方に話をもっていって、やろう、と。やるんだったら新しい事やっていきたいね、という事で始めたんです。


TIMING ZERO(タイミングゼロ)
1994年発売の幻のビジュアル/デザインマガジン。東泉一郎/能登信治/松本弦人などのグラフィックデザイナー9人が一人あたり4ページ、トレーシングペーパーと、赤、青の刷り色をテーマに自由にヴィジュアル表現した「issue one」。TYCOON GRAPHICSによるもの、dextroのインタビュー記事とグラフィックが載せられたもの、ケンイシイとグラフィックデザイナー木村克彦の対談の載せられたもの、の三種類のポスターがパッケージされていた「issue two」。他まさに現在入手不可能な「issue 0」があった。(画像はTIMING ZERO issue two – dextro -)

これまでの紹介のされ方と違って、注目されているグラフィックや雑誌が実際に誰がどんな風に作っているのか、という切り口で紹介されているのがとても新しいですね。今、クリエイトする事に意欲的な人が多い中、本当に興味深い雑誌ができたという風に思っているのですが。

それはうれしいですね(笑)。海外に取材に行くと、みんな日本の雑誌で紹介されているものは持っているんですよ、「STEP BY STEP」とか、デザイン専門書とか。でも何が書いてあるかわかんないよ、何書いてあるの?と聞かれる。そうするとこれは不平等だな、と。今みんなインターネットは英語でやっているじゃないですか。ここで紹介している人たちもみんなメールアドレス持っているんですよ、だからやっぱりバイリンガルでなくちゃならないな、と。「ジャップ」(雑誌のZYAPPU)はあえてローマ字でやっているし、「IN NATURAL」も英語で全部やって巻末に日本語持ってきたりとかしているんだけど、僕も世界の人に届けたいというのが第一にあるので、日本語、英語のバイリンガル誌にして、名前も+81という日本の国番号にしたんですよ。基本的にクリエイターという人達がキーパーソンで、次もそうなんですけど、クリエイターという人物がメイン。人物があって、環境があって、作品がある。その三本柱を切り口に全部やっていこうと思ってます。

では、+81という名前は日本発という事を強調しているのでしょうか?

日本発というと、「ジャップ」とか「TOKION」とかあるわけだけど、日本の情報を世界に発信するだけではなくて、“+81”という所を通って、繋がっている、というイメージです。日本発という事ではなく、たまたま日本で編集しているというだけであって。日本人が編集すれば日本人のテイストにどうしてもなってしまう、国柄は出るんだけれども、世界の人が、+81を廻して、そこからどこかに繋がる、リンクしているという意味です。表紙に「creators on the line」と記したのもそうで、+81を廻して自分がどこかにたどり着く、自分がそこから出ていく、+81というフィルターを通しているだけで、東京発とか日本発という事ではないです。

+81(plus eighty-one)と英語では読むし、香港、パリではまた違った読み方になる。それぞれ違うんだけれども、そこからクリエイターの輪が繋がる、そんな事をイメージしています。また、+81は紙媒体でしかできない事にもこだわってます。紙媒体というとやっぱりグラフィックなんで、どうしてもグラフィックデザイナーが沢山出てきているわけです。

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