マシュー・バーニー「リダウト」

NEWSText: Editor

Matthew Barney, Redoubt, 2018. Production still. © Matthew Barney, Courtesy of Gladstone Gallery, New York and Brussels, and Sadie Coles HQ, London. Photo: Hugo Glendinning

米国の美術家、マシュー・バーニーの新作映像作品「リダウト」が、全国順次公開される。東京都写真美術館ホールで2月29日から合わせて上映予定だった、「クレマスター」サイクル全5部作(1994-2002年)とビョークと協働した「拘束のドローイング9」(2005年)も新型コロナウイルスの流行の現状を考慮し延期となった。

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ギリシャ神話「ディアナとアクタイオン」を下敷きに制作されたという本作「リダウト」。神話によると、ディアナは狩猟の女神。貞節の女神とも解釈される。その女神が森の中で水浴しているところに、猟師のアクタイオンが迷い込んでしまう。恥ずかしさで顔を赤らめるディアナ、その裸体をニンフ(妖精)たちがなんとか隠そうとするが、ハンターのアクタイオンは女神の裸を見てしまう。すると、彼の頭から角が生え鹿に…

神話を自作の中に取り込み、雪山を舞台に、自然と人間、動物の関係を描いた本作は、台詞は一切なく、ダンスや身体を用いたコミュニケーションを図っている。マシュー・バーニー本人も銅板彫刻師の役で出演。雪山でスケッチをするがごとく、銅板にエッチングする様子が、身体に負荷をかけて作品制作に挑む「拘束のドローイング」シリーズにも通ずる。彫刻やインスタレーションで発表した電気めっきを施すシリーズの制作ドキュメントとも読み取れる。

マシュー・バーニー 新作フィルム「リダウト」(原題:REDOUBT)
2018年/アメリカ/134分03秒/4K DCP/7.1chサラウンド/台詞なし
制作・脚本・監督:マシュー・バーニー
音楽:ジョナサン・べプラー
撮影監督:ペーター・シュトリートマン
編集:キャサリン・マケリー
製作:マシュー・バーニー、セイディ・コールズ、バーバラ・グラッドストーン
配給:トモ・スズキ・ジャパン
後援:アメリカ大使館
https://www.tomosuzuki.com/redoubt

Text: Editor

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