PLAY WITH THE EARTH 逗子公演 2020

HAPPENINGText: Azusa Igeta

『自然の一部であることを体で感じながら旅をする』

作中で綴られるメッセージの通り、志津野氏は様々な土地でありのままの自然を捉えてきた。自然は美しいだけではない。自然の威力は時に街を、生活を、命を奪ってしまう。それが地球に生きる上で決して抗えない事実であることを現代の日本人が目の当たりにしたのは、2011年3月11日に起きた東日本大震災だろう。


Photo: Rai Shizuno © CINEMA CARAVAN

津波によって一瞬で破壊された街、倒壊した福島第一原発。人間が発展のために推し進めてきた行為は、自然との軋轢を生んだ。


Photo: Rai Shizuno © CINEMA CARAVAN

放射能の影響による帰宅困難区域、水没した北海道の大夕張ダム、閉山した長崎の池島炭鉱や軍艦島…。高度成長期の日本が残した“影”がスクリーンに映る中、一筋の光のように鮮烈なUAの歌声が響く。

  チュンキャヌ カナシャガ ティダバ アハガラチ
  (人々の愛が太陽を照らす)
  ワーキャガ ハキュンイキガ ヤミバ ヒキャラチ
  (私達の吐く息が闇を光らせる)
  UA『KUBANUYU』より

楽曲は、奄美の島口(地元の方言)で歌われる『KUBANUYU』。UAの歌声を軸にBOCCHIの軽やかな鍵盤が踊り、オトジのベースが畝り、色彩豊かな演奏が繰り広げられていく。早くから都会を離れ、自然と調和して生きてきたUAの気高く美しい声は、大きな愛に満ちた祈りのようだった。

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