WROアート・センター
PLACEText: Alicja Grabarczyk
WROアート・センターは、ポーランドのヴロツワフにある、現代アートとニューメディア、テクノロジーの機関であり、国際メディア・アート・ビエンナーレや、WROによる恒久展示・研究施設として新しく設立された。
WRO Art Center entrance. Photo: Michal Szota
活動はWRO メディア・アート財団に基づいて運営されている。1989年から、財団はコミュニケーションツールの発展に関連した現代アート的な試みを発表する国際規模のイベントとして、WROビエンナーレを開催している。技術の創造的な活用を促進しながら、展示会や上映会、マルチメディアコンサートやパフォーマンスといった幅広いアートの分野で魅力的なアート・プロジェクトを推進してきた。
A part of the Media Kindergarten installation by Patrycja Mastej, Dominika Sobolewska and Pawel Janicki (2008)
WROによる展示には、ステラーク、ロバート・カエン、ジャロン・ラニアー、ジェフリー・ショー、ロラン・ミニョノー、クリスタ・ソムラーといったヴロツワフで活動してきた高名なアーティストが名を連ねる。また、阿部好志や草原真知子、ケイジ・ナカムラ、沖啓介の参加した「Mediation/Medialization」(2000年) を含めた多くの展示会も企画しており、「virtual reality」(仮想現実) や「medialization」(メディア化) といった新しいポーランド語も生み出している。特別企画としては、NHKのデジスタ・アウォードからの作品を集めた「Digital Japan Exhibition」(2003年)、藤幡正樹らの作品を集めた「The Other Book」(2005年)などが挙げられる。開設当初から、多くの人々を魅了し続けているイベントである。(2007年WROビエンナーレの会期中には2万人が参加)
20世紀初頭のオットー・シュタイプラーのコーヒー・ロースト工場の屋根裏は、このWROアート・センターの700平方メートルのスペースとして、現代アートの表現の場に非常に適合している。建物の改修の際には、公共スペースとして作品を発表するのに適した大型スクリーンとなるガラス製のファサードが設置され、(垂木の枠組みを含む)修復されたインテリア要素と組合わさっている。
多目的ギャラリーや研究スペースは、異なった種類のイベントの同時開催を可能としている。研究活動と共に、WROアート・センターでは、書籍の出版やプロジェクトの普及、教育関連にも力を注いでいる。
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