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クラスター・ベルリン

PLACEText: Yoshito Maeoka

部屋の大きさのみを取り入れるアプローチは、ベルンド・トラスベルガー、ルッツ‐ライナー・ミュラー、ヨハネス・ハイデンペーター&セバスティアン・グレーフェにも同じ事が言える。


Bernd Trasberger

グナー・フォスのアプローチもまた興味深かった。彼は共通の素材である木の板の上に、布地のコピーの束、6冊のメモ帳、メモ帳に使われたインクと同じインクのしみを配置した。メモ帳ひとつひとつに目を通してみると、舞台の脚本のト書きであることが分かった。そのト書き一つ一つを念頭に目をつぶり想像してみると、あたかもその部屋で、コピーされた布地の衣装をまとった人々が登場する、これから始まるであろう舞台の様なイメージを呼び起こした。


Gunnar Voss

このように個性豊かでありながら一つのまとまった方向性を演出する役割を演じたのがプロジェクトチーフにあたるバーバラ・ブッフマイヤーだった。彼女はこのプロジェクトに際してこの場所を選んだ理由を次のように語った。『勿論、経済的な理由もある。でも、それ以上に大切なのはヴェディングにはまだアートを見る場所が少ない、ということ。おかげでここに来る人々はより長い時間作品そのものに向き合う時間を作る傾向にある。

例えばトア通り(ミッテ地区、徒歩圏内に多数のギャラリーがある)に場所を持つ事もできたけれども、あそこではみんなすぐ他所に行ってしまうでしょ?かといってアートファンに魅力的なもの何も無い訳ではない。このホフには他に2軒ギャラリーはある。このような適度な周りの環境が、ここにスペースを構えた大きな理由のうちの一つかしら。』

裏を返せば、魅力のあるコンテンツを提供できるからこそとれるアプローチである、その様に彼女の発言から自信を感じた。今後も彼らの活動には注目して行きたいと思う。

クラスター オープニング展「Vorabzug」
会期:2006年6月3日〜13日
会場:Cluster
住所:Osram Hoefe, 16 Oudenarder Strasse, 13347 Berlin
https://www.cluster-berlin.de

Text: Yoshito Maeoka
Photos: Yoshito Maeoka

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