東京デザイナーズ・ブロック 2002

HAPPENINGText: Sachiko Kurashina

日本に移住後、東京とパリを中心に展開しているクラウディオ・コルッチの作品は、渋谷駅のすぐ近く、渋谷西武のエルメスのショーウィンドゥに見つけることができた。彼自身、クライアントワークとしてエルメスのショーウインドーデザインを手掛けているとのこと。そのせいからか、彼の棚からは、エルメスの商品との愛称の良さが強く感じられた。


Claudio Colluci “CXC”

「CXC」という名のこの棚。素材はコンパクト・ラミネートでできており、用途によって棚の形や長さが変えられるというものだ。エルメスのキーカラー、オレンジと、棚の随所で使われている淡い黄色やピンクが同系色で合っており、縁取りの黒が全体を引き締めている。また、湾曲した角からは、女性的な優しさも感じられた。森林を思わせる背景もまた、この棚が醸し出す雰囲気と調和していたのではないだろうか。

その渋谷西武に程近いファッションビル・ゼロゲイトでは、ビルのウィンドウ全面を使ったインスタレーションが行われていた。


Shinichiro Arakawa

ギャラリー形式でアートとしてのファッションを表現していたのは、シンイチロウ アラカワの作品。マネキンを近くで見るだけでは、ショップのウィンドウを覗いている感覚だったが、他のデザイナー達の作品も展示されているゼロゲイトのウィンドウ全体を外から見てみると、その意味が理解できたような気がした。


Namaiki

そしてその巨大なウィンドウを統べて占拠していたのは、生意気のちぎり絵作品。虫達の世界がいきいきと表現されていた。機械で裁断されたようなシャープなラインではなく、ちぎり絵特有の質感で、虫達の動きが感じされる。外から見てみると、4階分のウィンドウ全体で虫達がのびのびと遊んでおり、迫力もあった。私がこの作品を見たのは正午近く。日が沈み夜になれば、まるで虫の音が聞こえてきそうな程印象も違って見えるのだろうか、と想像が膨らんだ。


Furniture Design Agra “Pzeel”

札幌を拠点に活動を展開するあぐら家具企画の作品が展示されていたのは、ポール・スミス ウーマン代官山店。「プジール」というこの椅子は、リサイクル可能な無架橋ビーズ発砲ポリエチレン製。大きさが違う3脚が寄り添うようなその姿は、まるで仲良し親子のようでかわいらしい。ポール・スミスといえば、私はいつもあの、色のバーコードのような袋を思い出すのだが、この作品の色と、ポール・スミスの賑やかな色使いに共通点を感じたのは、私だけだろうか。また、その色の共通点からか、作品が店全体の空気にすんなりと馴染んでおり、あたかもずっと前からこの店にこの椅子が居たかのような、さりげなさにも好感が持てた。「デザイン、デザイン」していなく、周りとの調和も、親しまれる作品の秘訣かもしれない。

続きを読む ...

【ボランティア募集】翻訳・編集ライターを募集中です。詳細はメールでお問い合わせください。
MoMA STORE