マクロメディア UCON 2001

HAPPENINGText: Rei Inamoto

UCONのメインテーマが「ユーザー体験」という非常に実体のないものであったにもかかわらず、カンファレンスではより実体的なトリックやギミックという方向へ引き寄せられていた。セッションの大半が様々なプログラム(ドリームウィーバー、フラッシュ、ディレクターなど)のハウツーであり、プレゼンターの多くが彼等の洞察力のある知識やそれらプログラムのクリエイティブな使い方をシェアしていた。

「ユーザー体験」は、十分に討論することのできる話題ではない。また、デザイナーやデベロッパー達が絶えまなく質問していた多くの質問に対する究極の回答は存在しないのだ。今回のカンファレンスでは、「どうすればユーザー体験を良くできるか」という質問に対する答えを出そうとしていたが、残念ながら答えは出なかったようだ。問題は、答えを出す前に「ユーザー体験」とは何かという定義が明白にされていないということにあった。


展示ブース

はっきりと名言されていたわけではないが、3Dとナローバンドというカンファレンスの基礎となる2つの傾向が存在していたようだ。ウェブに3D体験をもたらそうとする試みが、これまで幾度となく行われてきている。ゲーム産業を除いて、その試みはあまり成功を収めていない。そんな中、ディレクター8.5が、ユーザーのオンライン/オフラインアプリケーションに3Dインターフェイスを組み込むより速く簡単な方法を実現した。展示エリアでは、3Dアプリケーションとプラグインを売り込む人達でごった返していた。3Dの「トリックとギミック」の罠に陥ることなく、いかにその能力を最大限に活用するかは、僕達デザイナーやデベロッパー次第だ。

ブロードバンドという言葉が長い間語られているが、決して実現しないもののような印象がある。そして、ナローバンドもまだ無くなっていないのだ。実際、携帯電話やPDAなどのワイヤレス装置の急速な発展と共に、マクロメディアは様々なワイヤレスカンパニーと仕事をし、彼等のスタンダードを適合し、それら装置の現在のテクノロジーを最大限に活用する方法を紹介している。

一言で言うと、ナローバンドは今も確実に存在し、ブロードバンドは決して実現しない神話のようなものなのかもしれない。

マクロメディア UCON 2001
会期:2001年4月10日(火)〜12日(木)
会場:Hilton Hotel
住所:1335 Avenue of the Americas, New York, New York
https://ucon.macromedia.com

Text: Rei Inamoto
Translation: Mayumi Kaneko

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スティーヴン・チータム
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