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谷川俊太郎 + 谷川賢作「オタルコラージュ」

HAPPENINGText: Mariko Takei

詩の本編では『今は二〇〇六年十月のいつか ここはノルウェーのトロムソ』というくだりで、『今は二千十年六月のいつか ここは日本の小樽』とアドリブを展開。とてもワクワクとするようなコラージュの始まりを告げるファンファーレのようだった。

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© 上嶋秀俊、PIRKAMUSIC

「トロムソコラージュ」の次に朗読された詩「詩人の亡霊」から、登場した田仲ハルのダンスは、詩の朗読と音楽というサウンド的な連なりに、視覚的なエッセンスとなり、ステージ上のあちこちに現れ観客の目を虜にするダンスを披露した。

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© 上嶋秀俊、PIRKAMUSIC

2部構成で展開されたイベントは、次第にそれぞれの出演者が即興的なパフォーマンスを展開。第二部では、谷川俊太郎氏の代表作のひとつ「二十億光年の孤独」の朗読で、観客は宇宙に思いを馳せ、プログラムにはなかった俊太郎氏作詩の「鉄腕アトム」を俊太郎氏が口ずさむと、観客皆が見事に宇宙空間へと旅立ったかのようにライブは最高潮に達した。

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© 上嶋秀俊、PIRKAMUSIC

ライブ終盤は、トロムソコラージュの後半の朗読に加え、「臨死船」そしてアメージング・グレースのピアノの演奏をバックに「生きる」が、しっとりと朗読され詩と音楽とダンスの夜会が終了した。そして最後に、一度退場した出演者全員がステージに戻って披露してくれたのは、DJサウンドと “ことばあそびうた” によるコラージュだ。DJのナオヒト・ウチヤマのクラブサウンドに乗せて、谷川俊太郎氏の代表作である「ことばあそびうた」(福音館書店)から「かっぱ」「いるか」「ばか」のことばあそびの “ラップ” を披露してくれた。

これまでにも詩の朗読と音楽の様々な活動を展開してきた谷川両氏。今回のライブでラップトップとのコラボレーションは初の試みだったそうだ。詩、音楽、ダンスがコラボレートした「オタルコラージュ」は、観客にとって小樽発小宇宙旅行を体験できた素敵な一夜となったのではないだろうか。

オタルコラージュ
出演:谷川俊太郎(朗読)、谷川賢作(ピアノ)、飯田雅春(コントラバス)、クニユキ・タカハシ(Laptop,etc)、田仲ハル(ダンス)、Naohito Uchiyama(DJ)
会期:2010年6月25日
会場:小樽倉庫No.1
住所:北海道小樽市港町5番4号(小樽運河石造倉庫群)
https://www.pirkamusic.com/otarucollage/

Text: Mariko Takei

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