ベックマンズ・デザイン学校展示会

HAPPENINGText: Victor Moreno

『このコースは生徒が既存のファッション体制に対して一人一人の考えを付け加えることを目的としています。まず始めにファッションとコミュニケーションに関する講義とワークショップを行いました。それぞれグループに分かれて、展示会担当、全体的なコンセプト担当、それからウェブサイトや広報、開会日担当など部門ごとに受け持ちを決めました。その次に必要だったのは、それぞれの作品をモチーフとした映像を撮影する事でした。』

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全体の流れについて簡単に説明をお願いします。

ファッション専攻の学生の中には、最初から自分の作品のコンセプトが何なのかはっきりと自覚している者もいました。そうなると広告専攻の学生にとっては後の作業がし易く、お互い一緒に作業をしたり多くの意見を交換し合ったりしていました。ファッション専攻の学生は、早い段階で作品となる服を準備しなければならなかったのです。生地から作ったり、あるいは生地に模様をプリントする段階から始める学生もおり、まずは素材から集め始めなければなりませんでした。
そして、私たちはストックホルムの産業界にも大変感謝しています。このようなプロジェクトを高い水準で形にできたのは彼らのおかげです。映画業界などの業界の方々の支援が無ければ、こうは行かなかったでしょう。

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結果には満足していますか?

実に大勢の人々、それぞれの考え、そしてグループが集まっての共同作業でしたが、どの学生も上手くやり遂げる事ができたと思っています。他のプロジェクト中には、学生達に制作課程や裏側を知りたがっている記者やブロガーの存在を理解させるのに難しいことがあります。彼らは自分が喋らなくとも“作品は独りでに語ってくれる”と思っているのでしょう。

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一連の活動の中での、ご自分の役割についてはどうお考えですか?

この活動は学生のアイディアを基にしており、私の役目は彼らがよりお互いの考えを尊重しあえるようにすることです。さらに、それぞれの考えをお互い共有した概念へと発展させ、さらに様々な媒体でその概念を具現化することの手助けをすることも私の役目です。
私は必要な環境やおおまかな全体の流れ、講座の内容をあらかじめ設定しておき、他の分野で活躍する専門家の方々と共に、学生を一歩一歩支えていくのです。
学生自らが、自分の考えを発展させていくのは非常に大切なことです。

現在のファッション産業におけるマーケティング戦略についてはどのようにお考えですか?

現在、ファッションは以前音楽業界が担っていた文化の中心部としての役割を引き受けています。日々めまぐるしく変化しているメディアを取り巻く状況と相合わさって、ファッションの世界も人々を呼び集める力を持つようになりました。いまや国境を越えた娯楽の一つです。成功したブランドは、現在では顧客のことや、さらにどうすれば彼らとお互い影響しあう事ができるのかを充分に理解していると思っています。メディアでの扱いや露出も増えた今、ファッションを商品とする企業は戦略の見直しを迫られていると言えるでしょう。

この展示会はベックマンとPUBデパートの協賛により開催されている。2007年に改装されたPUBの3階建物の中には様々なテナント店が集まり、ストックホルムでも人気の場所の一つとなっている。

In a perfect world…
会期:2010年1月28日(木)〜2月7日(日)
会場:PUB Department Store
住所:Hötorget SE, Stockholm
https:/www.beckmans.se/inaperfectworld

Text: Victor Moreno
Translation: Yuki Mine
Photos: Victor Moreno

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