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グッゲンハイム・アブダビ

PLACEText: Mamiko Kawakami

アブダビ、サディヤット島4大建築プロジェクトの指揮を取る、アブダビ観光庁(ADTA)のディレクター、ムバラク・アルムハイリは『この100年間の歴史で最も素晴らしい、世界の建築家を集結させた。』と意気揚々に語る。その4大建築の一つ一つが未来の世界的名所として、2012年完成予定を前に既に世界中で注目を集めている。

その4大建築には、スペインのグッゲンハイム・ビルバオでその名を世界に知らしめたカナダ出身の建築家、フランク・O・ゲーリーの次なる挑戦、グッゲンハイム・アブダビがある。そのサイズは、ビルバオを超え世界一となる。


Image Courtesy of Gehry Partners, LLP

ゲーリーは、プロジェクトを引き受けた当初から『そのデザインは“今まで見たことの無いもの”でなくてはならない。』とはっきり決めていた。と言うのも、アブダビはこれまでゲーリー建築の舞台となった都市とは全く条件が異なる、言わば彼にとって未開拓の地だからだ。夏は50℃近くまで気温が上がり、文化はイスラム文化、砂漠とペルシャ湾が街を囲み、オイルマネーで潤う財政。これらの条件をもとに、ゲーリーはその“今まで見たことの無い”デザインを、グッゲンハイム財団のディレクター、トム・クレンズと徹底的に話し合い、追及した。その結果、考え出されたデザインがこのグッゲンハイム・アブダビだ。


Image Courtesy of Gehry Partners, LLP

もちろん、このアブダビの様な場所で近代美術館を設計するなどという計画は、もともとあったわけではない。『そのアブダビという土地が持つ特色、利点、要求に見合った、そして世界中から来場者を集めるべく美術館デザインを考えた。また豊富な資金の助けにもより、今まで全く構想にも至らなかったデザインへの道が開かれたと言える。』つまり、『アブダビを舞台に美術館を設計する事で、今までアメリカやヨーロッパで不可能だった建築デザインが可能になった。』と、アブダビでの新しい挑戦とその魅力をゲーリーは熱く語る。

クレンズがある日アーティスト達のスタジオを訪れた時、グッゲンハイム・アブダビへのインスピレーションを得たという。彼らのスタジオは、私達が普通美術館で鑑賞できるアートのスケールを遥かに超えたものを軽々創作できる広々としたものだった。そんなスタジオの柔軟性をグッゲンハイムにも取り込んだのだ。

このグッゲンハイム・アブダビのコレクションとなるのは、西洋のアートだけではなく、世界の現代アートだ。『投資額はプロジェクトを進める上での障害にはならない。』とシェイク・モハメド・ビン・ザイードUAE皇太子は、世界中からの選りすぐりのコレクションを集めるためには投資は惜しまないという強い意気込みを示している。

さて、その展示コレクションとは、第二次大戦後の近代・現代美術。同時代は、カンバス絵画から、アートパフォーマンス、ビデオ、アースアートなどへのアートの形が多様に変化しているのが特徴だ。これらのあらゆる形で表現されるアート、また、テーマ別の展示企画や、建築オブジェもありとあらゆる展示形式ができるよう、展示スペースは非常に柔軟に設計されている。「美術館は孤立した施設」という概念を捨て、この新モデル美術館は、「現代カルチャーの日々の変化に常に対応できるもの」として、ゲーリーはデザインしたからだ。

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